大学入試の基礎知識

大学入試について

大学を目指すということ

大学に進学する目的

このページを読んでいる皆さんは、大学進学を希望していると思います。では、「あなたは何のために大学に行くのですか?」と問われたら、何と答えますか? すでにはっきりとした目的を持っている人もいるでしょうし、「何となく」「みんなが行くから」「まだ就職は考えられないから」という人もいるかもしれません。

大学は専門分野の学問を修めるための場であると同時に、将来の夢を実現させるためのステップとなる場でもあります。ですから、大学は「入学すること」が目的なのではなく、将来に役立てるために「どのようなことを学びたいのか」を目的として選ばなければなりません。そのために適した環境はどこなのか、ということに重点を置くことが大切です。

まだ将来に対する具体的なビジョンがない場合でも、自分はどのような分野の学問に興味があるのかを考え、それを学ぶことでどのような道につながる可能性が高いのかを調べてみましょう。

これから自分の目標に向かって努力を開始する皆さんが、大学入試について正しい知識を身につけて頑張れるよう、志望校選びのポイントや学問の内容、入試制度などについて詳しく説明していきます。ぜひ参考にしてください。

 

大学選びの流れ

STEP1 将来の夢(職業)を考える 高1~高2
「どう生きていきたいのか」「どういう人間になりたいのか」が決まれば、「そのために何をすべきか」が見えてきます。将来の夢がまだ具体的に決まってない場合でも、 どのようなことに興味があるのか書き出してみましょう。

STEP2 学問分野を調べる 高1~高2
目指すもの、興味があることはどのような分野の学問なのか、それはどの学部・学科で学べるのかを調べましょう。同じ名前の学部や学科でも、大学ごとに学ぶ内容が異なることもあります。
また、名称だけでは学ぶ内容が判断しにくい学部や学科もあります。大学のホームページや進路情報誌などできちんと調べましょう。その際、その分野が文系なのか理系なのかも調べましょう。文理では入試科目が異なるので、慎重に検討してください。

STEP3 志望校を決める 高3春まで
志望校の決定にあたっては、オープンキャンパスに参加したり、学期中のキャンパスを訪問するなどして、実際に必ず見学することが大切です。志望校選びのポイントを参考に、まずは目標とする第1志望校を決め、学習スケジュールを立て、受験勉強を開始するようにしましょう。早期スタートが勝利へのカギ!

STEP4 大学入試制度を理解する 高3夏まで
大学入試の制度やしくみは目まぐるしく変化しています。
また、志望校が国公立大学なのか私立大学なのか、一般入試で受験するのか推薦入試やAO入試を利用するのかでも入試科目やスケジュールが大きく異なります。志望校や受験校(併願校)の入試制度については、各大学のホームページや入試要項、募集要項などでしっかりと調べるようにしましょう。

 

 

大学ではどんなことが学べるの?

大学ではどのようなことが学べるのでしょうか。学問領域の相関関係を、主な学問系統から見てみましょう。

 

学部・学科選びのポイント

得意科目・不得意科目だけで選ばない
あの科目が「得意だから」とか「苦手だから」とかいう基準で大学を選ぶと、入学後に「こんなはずじゃなかった」と後悔する可能性が高くなります。また、入試に必要がない科目でも大学の学びで必要な場合もあります。どのような学問に興味があるのか、どんな職業に就きたいのかなど、学部・学科の選択はあくまでも自分の希望を基準にして考えることが大切です。

大学のイメージや難易度を軸にして選ばない
「今の自分の学力で入れる大学だから」とか「有名な大学だから」とかで安易に考えるのではなく、「自分が何を学びたいのか」「将来、どういう職業に就きたいのか」を真剣に考えて志望校選択をしましょう。

学びの内容をしっかりと調べてから選択する
同じ学部・学科名であっても、大学によって学ぶ内容が異なることがあります。また、近年は「 国際地域創造学部(琉球大学 )」「 消費情報環境法学科(明治学院大学法学部 )」など、一見どのようなことを学ぶのかがわかりにくいユニークな名称の学部・学科等が増えています。必ず志望する大学のホームページを確認したり、オープンキャンパスに参加するなどして、その学部・学科が自分の学びたいことが学べる環境かどうか確認しましょう。
※これらは学びの一例です。大学情報などをチェックして、自分にぴったりの学問を見つけましょう。

 

 

志望校選びのポイント

情報収集のしかた

進みたい学部・学科(学問系統)が決まったら、志望校を決めます。近年、大学を中退する理由の約3分の1が、学生と大学とのミスマッチが原因であるといわれています。入試の難易度ランキングや知名度だけで大学を選ぶと、入学後にミスマッチを起こす恐れがありますので、進学目的や適性に合った大学かを事前に自分自身の目で確かめることが重要です。夏休みや春休みに実施されるオープンキャンパスなどを利用しましょう。オープンキャンパスは受験生だけでなく、高1・高2生も参加できます。事前予約が必要な場合もありますので、大学のホームページ等で確認してください。

 

大学からの公開内容と注意点

大学は情報公開が義務づけられています。以下の情報は各大学のホームページ等で公開されていますので、自分が目指す学問を修める環境としてふさわしいかをしっかりとチェックするようにしましょう。

◆大学の教育研究上の目的
例えば、同じ教育学部であっても教員養成を目的としているか否か。

◆教育研究上の基本組織
学部や学科・課程の名称を明らかにする。

◆教員に関する情報
教員の人数が多い方が教育・研究面で充実しているといえますし、教員1人当たりの学生数が少ないほど、きめ細かな指導が期待できます。なお、教員数については専任と兼任(非常勤)の違いにも注意です。また、研究上の業績や職務上の実績については、特に新設大学や新設学部等で情報が少ない場合に参考になるでしょう。

◆学生数(入学、在学、卒業)や就職、進学の状況
入学者数が定員より少なければ、授業料による収入が少なくなり、結果的に教育内容にしわ寄せが来るはず。逆に、入学者数が定員を超過している場合は、設備が足りなくなったり、学生1人ひとりのケアが不十分になる可能性大です。
また、退学者数(非公表の場合は、入学者数と卒業者数の差で推測)は、その大学に何らかの問題があるサインと見ることもできます。就職は就職率だけでなく、実際の人数も確認し、入学した学生がどのくらいの割合で就職しているか確認しましょう(理系は大学院進学率もチェック)。また、取得できる資格や就職支援、キャリア教育の充実度も確認しましょう。

◆カリキュラム
大学のカリキュラムは学校ごとに特色があります。
例えば、東京大学のように1~2年次は教養学部で教養科目を中心に学び、3年次から各学部で専門科目を学ぶ大学もあれば、一橋大学のように1年次から専門科目を組み込んでいる大学もあります。また、国際基督教大学のように、学生が主体的に科目を選択し、1つの専攻を極めるもよし、2つの専攻を同時に組み合わせるもよしといった、非常に自由度の高い教育体系をとっている大学もあります。

◆単位取得や卒業認定に関する基準や学位等
現在は成績評価の基準を事前に明示し、それに基づいて単位を与えることが求められています。また、大学卒業時に与えられる学位の名称も公表が義務づけられ、大学を卒業すると「学士」の学位が与えられます(例:文学部卒業の場合「学士(文学)」)。

◆キャンパスや設備等
近年、大都市圏の大学によるキャンパスの都市部移転・回帰が多く見られます。これは学生の確保や教育効果の向上をねらった対策です。一方で、学部によってキャンパスが異なる場所にあったり、学年でキャンパスが分かれているにもかかわらず、ホームページ等でわかりやすく表記されていない大学も一部にはあります。また、体育の授業のグラウンドが離れていたり、クラブ活動の施設が離れていたりする場合もあります。
大学が駅から離れている場合、スクールバスの有無も通学の利便性に大きく影響します。志望校を選択する際には、キャンパスの雰囲気や活気、部活動・サークル活動の充実度も重要な指標となりますので、大学が行うオープンキャンパスには必ず参加し、可能ならば学期中のキャンパスを訪ねてみましょう。

◆学費等
私立大学は国公立大学に比べて初年度学生納付金や2年目以降の授業料が割高です。また、授業料が安くても施設設備費や実習費などがその分高いこともあるので、学費を比較する場合は学費の総額で比較することが大切です。
一方で、授業料免除や給付型の奨学金など、返済が不要な支援制度が充実している大学も多いので、これらを上手に利用できれば私立大学でも、学費が国立大学並みや国立大学以下になる場合があります(例・青山学院大学「地の塩、世の光奨学金」※年額50万円を原則4年間支給、入学前予約型給付奨学金)。
また、学生寮などの費用や設備が整っているかどうかも調べておきましょう。一般的にアパートを借りるよりも学生寮の方が安い場合が多いですが、大学周辺の家賃相場が下がっていてアパートを借りた方が安い場合もあります。また、安くて快適な学生寮がある一方で、老朽化して設備が不十分だったり、大学から遠く通学が大変な場合もあるので注意が必要です。

◆学生支援
就職支援や学費の支援に加え、学習面の支援や、留学支援の充実度にも注目しましょう。
学習面のサポートとしては、大学の学習にスムーズに移行できるよう初年次教育を導入している大学が増えています。また、高校の補習的な講座(リメディアル教育)を設けている大学も多くあります。
生活面のサポートでは、担任制を設けて教員と学生のコミュニケーションが円滑に進むよう工夫したり、カウンセリングの窓口を常設している大学もあります。
留学支援制度が充実しているかどうかも確認しましょう。ビジネスの分野でも研究の分野でもグローバル化が進んでおり、現時点で留学を考えていなくても、大学に入学してから留学したいと感じる可能性もあります。特に確認したいのが、留学先の大学で取得した単位が、日本の大学の単位として認定されるかどうかです。認定されないと、4年間で大学を卒業するのが難しくなります。また、海外に提携大学が多くても、実際にはほとんど留学の実績がない場合もあります。毎年何人ぐらいが実際に留学しているかを確認しましょう。
さらに、費用面のサポートがあるかどうかも重要です。なお、早稲田大学国際教養学部や公立の国際教養大学のように、カリキュラム上、留学を必須としている大学もあります。留学期間や留学先・費用については大学によって異なるので、必ず確認するようにしましょう。
就職支援については、ほとんどの大学がキャリア教育(キャリア支援)に力を入れています。ガイダンスの参加企業の実績や、インターンシップ制などサポート体制の充実度をしっかりとチェックしましょう。

◆大学卒業後の進路
大学卒業後の進路として就職以外で割合が大きいのが、大学院進学です。大学院の課程は、その教育目的によって主に次の5つに分けられます。
①修士課程
②博士課程
③一貫性博士課程
④四年生博士課程
⑤専門職学位課程
2019年度の大学院等進学率は10.5%で、学科系統別で最も高かったのは理学の40.2%、次いで工学の35.9%、農学の22.7%と、理系で高い進学率となっています。特に理系学部の定員比率が高い国立大学では、全体で32.9%が大学院に進学しており、そのうち工学が63.9%、理学59.1%、薬学54.2%が学部卒業後、大学院に進学している状況です。これは、理系学生に人気の高い研究開発職が修士号取得を応募条件としているケースが多いためです。一方で、博士号取得者の多くが目指す大学での研究職は、もともとポストが多くないこともあり、狭き門となっているのが現状です。

◆資格取得について
学びの分野によって、取得できる資格を目指して志望校を選ぶケースもあることでしょう。
大学では、教員免許のように所定の科目の単位を取得すれば取得できるものや、看護師のように特定の学部・学科を卒業することが受験資格となるもの、一級建築士のように卒業後一定の実務経験に積むことで受験資格が得られたり取得できるもの、2018年度からスタートした公認心理師のように大学院までの課程を修了することで受験資格をえられるものなどがあるので、志望校で希望する資格を取得できるかどうかについても調べる必要があります。なお、資格には医師や弁護士のような「国家資格」と臨床心理士のような「民間資格」、ケアマネージャー(介護支援専門員)などのような「公的資格」があります。

 

 

気になるお金の話

大学を選ぶ際に最も重視すべきことは、その大学で自分が学びたいことが学べるかどうかです。しかし、多くの受験生にとって、学費などの経済的な要素も無視できない条件でしょう。ここでは、検定料・入学金・授業料などの学費や、奨学金などについて紹介します。

 

受験費用はどのくらいかかる?

受験にあたってまず必要なのは、願書(募集要項)の取り寄せです。願書は、多くの国公立大学・私立大学が9月から12月に配布されます。国公立大学の願書は無料ですが、私立大学の願書は無料の大学と有料(数百円~千円程度)の大学があります。無料の場合でも、郵送手数料または直接大学へ取りに行くための交通費がかかることになります。

近年ではインターネット出願を導入する大学が増えており、この場合は基本的に願書も大学のサイトからダウンロードできます。また、紙媒体の願書についてはオープンキャンパスや学校説明会に参加すると無料でもらえる場合もあります。一部の私立大学の願書については、大手書店で販売されているものもあります。

なお、共通テストの結果によっては出願校を変更する場合があるので、第2・第3志望の国公立大学についても願書を取り寄せておくとよいでしょう。私立大学についても、出願締切間際になって慌てることのないよう、受験する可能性のある大学については、あらかじめ願書をすべて入手しておくようにしましょう。

入学検定料(受験料)ですが、共通テストが1万8000円(3教科以上受験の場合)、国公立大学の前期・後期日程が合計3万4000円です。私立大学の共通テスト利用方式は約1万8000円、個別方式は医学部医学科を除き、約3万5000円が主流です。
例えば、標準的な国公立大学志願者の場合、共通テスト、国公立大学の前期・後期日程、私立大学3校(共通テスト利用方式1校、個別方式2校)を受験すると、合計して約14万円の受験料が必要となります。

ただし、同じ私立大学内で併願する場合や、同じ学部を複数の方式で受験する場合、受験料を減免する大学が増えていますので、詳しくは各大学のホームページなどで確認しましょう。
ここで見落としがちなのが、自宅から離れた場所にある大学を受験する場合の試験会場までの交通費や宿泊費です。また、宿泊先の確保も重要です。地域によっては立地の良いホテルが早々に満室になることもありますので、費用だけでなく宿泊先の手配も早めにするようにしましょう。中には大学の所在地以外の主要都市などで学外の試験会場を設けて入学試験を実施する「地方会場入試」を実施している大学もあるので、自宅の近くで受験可能な試験会場があれば、それを利用するのもよいでしょう。

 

大学1年目の学費はどれくらいかかる?

受験にあたってまず必要なのは、願書(募集要項)の取り寄せです。願書は、多くの国公立大学・私立大学が9月から12月に配布されます。国公立大学の願書は無料ですが、私立大学の願書は無料の大学と有料(数百円~千円程度)の大学があります。無料の場合でも、郵送手数料または直接大学へ取りに行くための交通費がかかることになります。

近年ではインターネット出願を導入する大学が増えており、この場合は基本的に願書も大学のサイトからダウンロードできます。また、紙媒体の願書についてはオープンキャンパスや学校説明会に参加すると無料でもらえる場合もあります。一部の私立大学の願書については、大手書店で販売されているものもあります。

なお、共通テストの結果によっては出願校を変更する場合があるので、第2・第3志望の国公立大学についても願書を取り寄せておくとよいでしょう。私立大学についても、出願締切間際になって慌てることのないよう、受験する可能性のある大学については、あらかじめ願書をすべて入手しておくようにしましょう。

 

大学生の3割が奨学金を利用

受験生の保護者世代にとって、奨学金は学業成績優秀者のみが利用するという印象が強いかもしれません。しかし、今や、最も利用者の多い日本学生支援機構の奨学金(貸与型)だけで日本の大学生の2・7人に1人が利用しています(2019年度)。奨学金は、大学卒業後に返済義務のある「貸与型」と返済の必要がない「給付型」に分類されます。従来は「貸与型」が主流でしたが、近年は「給付型」の奨学金を導入する大学が増えてきています。中には受験前に申請して予約採用されてから、合格後に正式に奨学生として採用され、奨学金が給付される制度もあります。

ただし、これらの制度は単年度のみの給付であったり、一定以上の学業成績を修めることが継続受給の条件になっている場合があるので、受給資格については必ず各大学のホームページや担当窓口で確認するようにしてください。

下表は、日本学生支援機構の奨学金制度の概要をまとめたものです。第一種(無利子)と第二種(有利子)は、いずれも「貸与型」です。第一種は国公立大学か私立大学か、自宅生か自宅外生かで貸与額が決められています。 一方、第二種では、貸与額を2~12万円から選ぶことができます。 いずれにしても貸与型の奨学金は、それがある種の「借金」であることを十分に理解し、返済計画を立てた上で申し込む必要があります。

2020年度から、大学を含む高等教育における教育費負担軽減のため、一般に「大学無償化」と呼ばれている新制度が始まりました。この制度は、家庭の年収や成績など一定の条件を満たした学生に対して支援を行うもので、授業料等の減免に加えて、生活費として月額最大7万5800円の給付金を支給するものです。
授業料等の減免額、給付型奨学金の支給額は、家計の状況や通う大学が国公立大学か私立大学かによって変動するほか、給付型奨学金については、自宅から学校に通うのか、自宅外(寮や下宿等)から通うのかによっても違ってきます。たとえば、非課税世帯で国立大学に入学し、自宅から通学する場合は、入学金と授業料が全額免除となり、さらに毎月2万9200円の返還不要の奨学金を受け取ることができます。

自分がこの制度の対象となっているのかは、JASSOのホームページの「進学資金シミュレーター」から確認できます。このほか、国や銀行が扱っている教育ローンや、大学が民間企業と提携して実施する学資ローンもあり、一定の条件を満たすことで利用できます。給付型の奨学金ないし授業料免除の制度については、各大学のホームページや担当窓口で確認しましょう。

 

用語集

◆受験料割引制度
大学によってさまざまですが、多いのは「複数回受験による受験割引」です。例えば拓殖大学では、一般選抜を1回受験する際の入学検定料は3万2000円ですが、2回の受験でも同じく3万2000円(1回分が無料)、3回の受験だと総額3万9000円という、大幅な割引制度を導入しています。また、一般選抜と共通テスト利用入試を併願する場合は、5000円割引となります(2020年度入試)。
全学部統一入試を実施している明治大学では、1学部出願する際の検定料は3万5000円ですが、同一試験で2学部目以降の入学検定料が2万円です(例:同一試験で2学部に出願した場合、入学検定料の総額は3万5000円+2万円=5万5000円)。このほか、近年は「インターネット出願による受験料割引」も増えています。

◆インターネット(web)出願
インターネットの出願サイトから、必要な項目の情報を入力・送信する出願方法。受験生の手間の軽減や、大学側の人件費の削減、ペーパーレス化により環境にやさしいなどのメリットがあり、国公立大学を含めて近年導入する大学が増えています。2014年度入試から出願を完全インターネット化し、志願者数で初の日本一になった近畿大学のように、一般選抜でも紙の願書を廃止している大学も多く見られます。また、導入している多くの大学で、入学検定料や併願検定料の割引を行っており、利用する受験生が増えています。

◆初年度納付金
初年度納付金には、授業料に加え、入学金、施設整備費、実験実習費、諸会費などが含まれます。納入方法は、1次手続で入学金を納入し、2次手続で授業料を納入する2段階方式や、それらを一括で納入する方式(一部を延納できる場合もある)など、各大学によって異なるため、注意が必要です。国立大学の昼間部では、入学金、授業料に標準額があり、その合計は81万7800円となっています(施設整備費や実験実習費は、大学・学部によって異なる)。一方、私立大では、初年度納付金は大学間や学部間でばらつきが見られ、法学部で約100~125万円、理工学部で約150~180万円という額が一般的です。

◆入学前予約型奨学金
かつての奨学金制度は入学後に募集や申し込みをするものが大半でしたが、最近は大学独自の給付型奨学金制度や授業料免除などの学費減免制度を導入し、受験前に申請して予約採用するケースが増えています。
主として経済的に困窮している生徒を対象としたものと、学業成績が優秀な生徒を対象にしたものがあります。この制度は入学前に給付が約束されるため、保護者が学資の目途が立てやすく、受験生も安心して受験に臨めるという大きなメリットがあります。

【主な導入例(2021年度)】
・国立大学
お茶の水女子大学「“みがかずば”奨学金」 →1年次と2年次に30万円給付
信州大学「信州大学知の森基金奨学金」 →一時金として40万円給付

・私立大学
早稲田大学「めざせ! 都の西北奨学金」 →半期(春学期)分授業料相当額を4年間給付
関西大学「学の実化」入学前予約採用型給付奨学金 →関西圏外進学者年間40~55万円、関西圏内進学者年間30~45万円を4年間給付※学部により異なる。◎医学部では地域枠の奨学金制度を設けている大学も有り。

 

 

 

大学入試のしくみ

2021年度からの入試制度

2021年度入試からは入試が変わります。その経緯も含めて見ていきましょう。

 

なぜ入試制度改革を行うのか

少子化、国際競争が進む中で、大学教育の質の転換が求められています。そのためには、高校の教育も変える必要があり、高等教育と大学教育をつなぐ大学入試についても一体的に改革をする必要があります。これが「高大接続システムの改革」です。この改革では、厳しい時代を乗り越え、新たな価値を創造していくためには、社会で自立して活動していくために必要な「学力の三要素」をバランスよく育むことが必要とされており、これが多面的・総合的に評価されます。

学力の三要素
①知識・技能の確実な修得
②(①を基にした)思考力、判断力、表現力
③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度

①はこれまでのの大学入試でおもに問われてきた要素であり、2021年度からの入試では②と③についても今まで以上に問われることになります。

 

大学入試改革

大学入試改革で実施されること
① 「大学入試センター試験(以下、センター試験)」に代わり、「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)」がスタート
②英語4技能資格・検定試験の積極的な活用
③ 個別試験で調査書等を活用

入試の名称変更
・一般入試→一般選抜
・AO入試→総合型選抜
・推薦入試→学校推薦型選抜

「大学入学共通テスト」について
共通テストの実施時期は、センター試験同様、1月中旬の2日間で行われます。
ただし、2021年度入試については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による学業の遅れへの対応のため、特例措置として本試験が2回実施(第1日程、第1日程から2週間後に実施する第2日程※日程選択制)されます。
※過年度卒業生については移行措置はなく、受験できるのは第1日程のみ。
なお、現行学習指導要領で行われる2025年度入試(2025年1月実施)までは、教科・科目に変更はありません。

 

 

大学入学共通テスト

共通テストとは

2021年度入試から共通テストがスタートします。実施に向けては英語成績提供システムの導入見送りや国語と数学の記述式の出題取りやめなど、紆余曲折があり、最終的に出題形式はセンター試験時代と変わらず、オールマークシート式となりました。しかし、出題内容は、これまでの「知識・技能の確実な習得」に重きを置いた問題だけではなく、「思考力・判断力・表現力」についても出題されます。
また、英語のリーディング(筆記から名称変更)とリスニングの配点比率が、これまでの250点:50点の4:1から100点:100点の1:1となります。ただし、各技能の点数の入試での比重(重み付け)は各大学が決めるので、注意が必要です。また、リスニングの問題音声読み上げ回数が、これまでの「すべて2回」から「1回読みと2回読み」とで構成されることになりました。
国語は実用的な文章も出題範囲となり、数学①は試験時間が70分となります。
なお、出題教科・科目も変更はありません。

 

出題教科・受験科目

共通テストの出題教科、科目は下表のとおり7つの区分に6教科・30科目が設定されています(2021年度)。

1.『 』内記載のものは,2つの科目を総合したもの又は2つ以上の科目に共通する内容を盛り込んだ出題科目とする。
2. 地理歴史及び公民の「科目選択の方法等」欄中の「同一名称を含む科目の組合せ」とは、「世界史A」と「世界史B」、「日本史A」と「日本史B」、「地理A」と「地理B」、「倫理」と『倫理、政治・ 経済』及び「政治・経済」と『倫理、政治・経済』の組合せをいう。
3. 理科①については、1科目のみの受験は認めない。
4. 外国語において『英語』を選択する受験者は、原則としてリーディングとリスニングの双方を解答する。
5.下線部はセンター試験からの変更点

受験生は全ての教科・科目を受験する必要はなく、志望大学・学部の要求する科目だけを受験することになります。  国公立の場合、現在ほとんどの大学が5(6)教科7(8)科目を課しています。具体的には、

理系……外国語、国語、数学①、数学②、理科から2(3)科目、地歴公民から1科目
文系……外国語、国語、数学①、数学②、理科から1(2)科目、地歴公民から2科目

が標準的な受験パターンです。 公立では難関大学を除き、国立より科目負担の軽い大学が多くみられます。また、私立大学が共通テスト利用入試を課す場合は3教科が中心となり、共通テストの成績だけで合否を判定する場合がほとんどですが、共通テストと個別試験を併用して判定する大学も増えています。

 

数学・理科のグループ分け

数学と理科が2グループに分類されています。
選択方法については、数学は各グループから1科目を選択して解答するというパターンです。理科については、4つの選択方法から1つを選び、出願時に申請したうえで解答することになるので、注意が必要です。 なお、理科②の「物理」「化学」「生物」「地学」の選択問題の設定は取り止めとなりました。

 

スケジュール

共通テストは、受験案内の入手から受験までに様々な手順を踏む必要があります。以下は2021年度共通テストの例です。

重要なポイントをいくつかまとめておきます。
①受験案内の配布(9月1日~)

②検定料の払込(9月1日~10月8日)(成績通知を希望しない場合)
検定料は受験する教科数により異なります。
・2教科以下の場合・・・1万2000円
・3教科以上の場合・・・1万8000円
最初から受験教科を絞り込んでしまうと、受験直前になって志望校を変更することができなくなります。 できる限り「3教科以上」受験を前提として共通テストの準備を進めておきましょう。

③出願期間(9月28日~10月8日)
高3生は高校で一括出願できますが、既卒生は各自で出願しなければなりません。締切間近になって慌てないよう余裕をもって準備しましょう。

④「確認はがき」の送付(10月27日までに到着)

⑤「受験票」の送付(12月15日までに到着)
「確認はがき」(出願受理通知)では、氏名や登録教科などの内容が正しいかどうかを確認しておきます。また「受験票」には試験会場が記載されていますので、必ず事前に交通手段を確認し、下見をしておきましょう。

⑥本試験・追試験
共通テストの実施期日については、「1月13日以降の最初の土曜日及び翌日の日曜日」とすることが文部科学省から各国公私立大学長に対して通知されており、毎年2日間にわたって実施されています。体調不良などにより本試験が受けられなかった場合は、翌週(2021年度入試については2週間後)の追試験を受験することができますが、医師の診断書の提出など特別な手続が必要になります(受験案内、受験上の注意参照)。試験会場も東日本と西日本でそれぞれ一会場のみですが、2021年度入試については、新型コロナウイルスの影響で特例措置が取られます。(上図)

 

用語集

共通テストは、受験案内の入手から受験までに様々な手順を踏む必要があります。以下は2021年度共通テストの例です。

◆志願倍率・実質倍率
「志願倍率」は出願者数を募集人員で割った数値。実際的な競争率は受験者数を合格者数で割った数値である「実質倍率」が示します。

◆得点調整
共通テスト本試験では、原則として一定の科目間で平均点が20点以上の得点差が生じ、かつ、これが試験問題の難易差に基づくものであると認められた場合には、次の科目間で得点調整が行われます(2021年度入試)。 
(1)地理歴史の
「世界史B」「日本史B」「地理B」の間

(2)公民の
「現代社会」「倫理」「政治・経済」の間(公民の『倫理、政治・経済』は、得点調整対象外)

(3)理科②の
「物理」「化学」「生物」「地学」の間 (理科①の「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」は、得点調整対象外)
※受験者数が1万人未満であった科目は対象としない。

 

共通テスト対策なら東進!万全の共通テスト対策

大学入学共通テストに移行したことで、さまざまな不安を感じている高校生が多いようです。
でも大丈夫!東進なら、共通テストに向けた対策も万全です。
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過去問演習講座など、東進の教務力を結集した「共通テスト対策」をご紹介します。

◆東進の学習スケジュール例

 

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これまでも東進では、共通テスト試行調査や公表されていたモデル問題例などを活用し、共通テストの問題傾向を徹底的に調査・分析を行ってきました。そして共通テスト元年の受験生のために、2019年から共通テスト対策講座を開講しています。
そして今回、2021年1月に実施された共通テストを受けて、これらの講座をリニューアルすることを決定しました!共通テスト本番を徹底分析し、その最新情報を反映した内容といたします。さらに完全新作講座の開講も決定!
これまで以上に講座ラインアップを強化し、共通テストで求められる力を確実に養成します。

◆講座の特長
POINT①5教科を開講。受験に必要なすべての科目を対策できる!
東進では、英語や数学、国語などの主要科目はもちろんのこと、理科・地歴公民を含めたすべての科目を開講。
どうしても後回しにしがちな選択科目も、基礎からしっかりと対策を行うことが可能です。

POINT②英語はスキル×レベルごとに開講。君に最適な組み合わせで受講できる! 
英語は8講座を設置します※。リスニングとリーディング両方を学ぶ講座をはじめ、リーディングに特化して徹底対策する講座をそれぞれ2レベルずつ開講。さらに、センター試験より難化したリスニングの対策講座は4レベルを開講中!君の得意不得意に合わせて、最適な組み合わせで受講することが可能です。
※2021年春以降に開講予定の講座を含む

POINT③講座を2レベル設置。君の学力に合ったレベルから学べる! 
さらに、数学・現代文の対策講座は、2レベルを設置します。受講前の君の学力レベルに合わせてスタートできる
ため、共通テストに対応する力を無理なくつけることができます。

◆講座の種類
英語:8講座/数学:4講座/国語:6講座/理科:14講座(理科基礎含む)/地歴公民:16講座

 

共通テスト対策なら東進!東進共通テスト対策講座 Listening

リスニング力は一朝一夕では身につかず、継続して学習できているかが極めて重要です。さらに、共通テストから傾向が変わり、これまで以上に差がつきやすくなっている分野です。そこで、東進ではいつでもどこでもトレーニングができるよう、リスニング対策アプリを開発しました。これでトレーニングと問題演習を繰り返せば、リスニング力を徹底的に鍛えることが可能です!

NEWS

音声の読み上げスピード(1分間あたり)について調査したところ、驚くべきことがわかった。2021年共通テストの音声読み上げスピードは132.5語/1分(センター試験より+4.6語)とかなり早くなっており、最大瞬間風速では198語/1分をマーク(これは大学の講義や英検1級をはるかに超え、CNNレベルとほぼ同等のスピード)。これだけでも、共通テストの難化を感じるだろう。
ところが、東進で実施している「共通テスト本番レベル模試」の読み上げスピードは、137.0語/1分で、「東進共通テスト対策講座 Listening(アプリ)」 は140.0語/1分(1.0倍速)1.2倍速では175.0語/1分。つまり、東進模試とアプリを活用し徹底対策すれば、難化した共通テストのリスニングにも十分対応できる力が身につく。有効活用して、徹底的に耳を鍛えよう!

 

共通テスト対策なら東進!過去問演習講座 大学入学共通テスト対策

東進の志望校対策の中核の一つである過去問演習講座。そのうちの一つが「過去問演習講座 大学入学共通テスト対策」です。共通テストの過去問は1年分しかありませんが、これまでに行われた試行調査と東進の共通テスト対応模試などの予想問題を組み合わせ、他の過去問演習講座同様に十分な演習量を提供します。本番で高得点を獲得するために、何をどうすべきか、東進の教務力と情報力を凝縮した対策講座です。

 

 

国公立大学入試

共通テストから個別試験へ

国公立大学では、多くの学部・学科が共通テスト(1次試験)と各大学の個別試験(2次試験)の成績の合計により合否を決定します(合算方法は各大学により異なります)。共通テスト終了後、受験生は自己採点結果をもとにして受験大学への出願を行います。

 

国公立大学個別試験のシステム

◆分離分割方式
国公立大学の2次試験は各大学の募集人員を「前期日程」と「後期日程」に分けて行う「分離分割方式」となっています(一部の公立大学のみ「中期日程」を実施します)。

◆出願と合否の関係
出願は前期日程から1校、後期日程から1校、中期日程から1校の最大3校が可能です。
併願パターンとしては
(1)前期日程→後期日程
(2)前期日程→中期日程
(3)中期日程→後期日程
(4)前期日程→中期日程→後期日程
の4パターンとなりますが、国公立大学の個別試験の場合、「前期日程」の試験に合格し、所定の期日までに入学手続を完了すると、「中期日程」「後期日程」に出願・受験しても「中期日程」「後期日程」の学部・学科の合格者とはならない(国公立内でダブル合格はできない)という重要なルールがあります。
ちなみに募集人員は前期日程に偏っており(2020年度の場合、国立前期…全募集人員の67.1%、公立前期…全募集人員の51.7%)、後期は競争率も高くなることから、結果として第1志望の大学・学部については前期日程で受験することが原則となります。 ただし、埼玉大学(理学部、工学部)や、山梨大学(医学部)等、一部の大学や学部で後期日程に定員を多く設定している、あるいは岐阜薬科大学のように中期日程のみというケースもあるので、国公立大学の受験は、前期日程を軸にしつつ、最後まであきらめない受験スケジュールを立てるのが望ましいといえます。※2021年度入試については、新型コロナウイルス罹患者を対象に、特例として個別試験の追試を実施します。ただし、実施の有無は各大学の判断となるため、注意が必要です。

 

科目・配点

個別試験の受験科目・配点は各大学が自由に指定することができます。

◆科目
●前期記述式の学科試験が中心となり、1~3教科の試験を課す大学が多い。難関大学ほど受験教科・科目が多くなる。※東京大学・京都大学・一橋大学・山形大学(医学部医学科)等の前期日程では4教科が課される。
●後期学力試験の教科・科目数を少なくし、総合問題・小論文、面接などによって合格者を選抜する大学が主流となる。宇都宮大学(農学部)のように共通テストの得点のみで合否を決定する大学もある。

学科試験の科目別傾向としては、「外国語」はコミュニケーション英語I・II・III、英語表現I・IIが中心となり、英語会話を加える大学もあります。共通テストでリスニングが実施されるため、個別試験にリスニングを課す大学は減る傾向にあります。「数学」の場合、理系はI・A、II・B、IIIで、数学Aは全項目指定、数学Bについては「数列」と「ベクトル」の指定が多くみられます。文系はI・A、II・Bが主体で、数学Aについては、理系同様、全項目指定、数学Bについては「数列・ベクトル」がよく指定されています。
「国語」は、国語総合・現代文が主体ですが、古典(古文・漢文)を加える大学もあります。「理科」は物理・化学・生物の全範囲(基礎+専門)のいずれかを課す大学が多い状況です。「地歴・公民」は日本史・世界史・地理の各B科目が主体となります。

◆配点
共通テストと個別試験の配点は大学・学部・学科や入試方式によってさまざまですが、特に多いのが専攻する学問に関連する教科の配点を高く設定するパターンです。例えば理系学部では数学や理科の配点が高くなっているケースが目立ちます。また、共通テストと個別試験の配点比率も大学によって差があるので注意が必要です。

配点の差によって、
(1)共通テスト重視型→茨城大学人文社会学部現代社会学科前期など
(2)共通テスト・個別試験均等配点型→大阪大学法学部など
(3)個別試験重視型→東京大学、京都大学工学部など
の3タイプに分けられます。志望校の入試科目・配点、共通テスト・個別試験の配点比率については早めにホームページなどで確認しておきましょう。大学の傾向をうまく利用して、自分の適性に合った受験をすることが大切です。

(1)共通テスト重視型
共通テスト重視型大学の個別試験は「英語のみ」や「面接・小論文」など個別試験で差がつきにくい科目が中心です。問題集や模試を積極的に活用して、共通テストへの準備を万全にしておきましょう。

(2)共通テスト・個別試験均等配点型
個別試験での挽回が難しいため、共通テストの得点が合否に大きく影響することとなります。共通テスト対策の勉強を柱として、個別試験で基礎・標準レベルの問題を確実に解けるようバランスの良い学習を心がけましょう。

(3)個別試験重視型
難関大学に多い配点形式です。共通テストで確実に得点することはもちろんですが、各大学の傾向に合わせてしっかり個別試験対策を行うことが合格へのポイントとなります。

 

二段階選抜

志願者数が募集人員に対して一定以上の割合を超えた場合、共通テストの成績によって受験者を絞り込む「二段階選抜」を行う大学があります(難関大学に多くみられます)。 合格ラインに満たなかった場合、個別試験を受験する前に不合格となるので、志望校が二段階選抜を行うかどうかは必ず選抜要項・募集要項などで確認しておきましょう。
二段階選抜を行う理由としては、一定以上の学力をもった受験生を集めたい、受験会場の確保が難しいといった大学側の事情が挙げられます。ただし、二段階選抜の実施を予告していても、予告した条件で第一段階選抜を実施した場合に不合格者が少ない場合などは、第一段階選抜を実施しないことがあります。

 

 

私立大学入試

スケジュール

7月上旬から募集要項の発表が始まり、だいたい9月~11月をピークに、各大学において願書の配布が行われます。入試は共通テストの後1月下旬からスタートし、まずは関西地区を中心に本格化し、2月中旬には首都圏を中心にピークを迎えます。3月に入っても一部の大学で後期入試、2次募集などが実施されますが、3月下旬には大半の大学で入試が終了します。

 

入試科目

私立大学の一般選抜では、3教科型が中心となります。
ただし、最近では定員の一部を2教科以下の受験方式に設定する大学も増えています。
3教科型の標準的な入試科目としては次のとおりとなります。

◆理系
英語・数学・理科(<基礎+専門>1科目または2科目)の3教科が基本、2教科の場合は英語・数学か、数学が必須で英語・理科から1教科選択のパターンが多くなります。

◆文系
英語と国語必須で地歴・公民・数学から1教科選択の3教科が中心となり、2教科の場合は英語必須で他の1教科を選択するか、任意の2教科を選択する方式が主流となります。

各教科の一般的な出題内容は次の通りです。

英語
コミュニケーション英語I・II・III、英語表現I・IIが中心。

数学
理工や医学系の場合、数学I・II・III・A・Bが多く、薬・農・看護では数学I・II・A・Bが多数となる。
文系の場合、選択科目としての出題がほとんどだが、数学I・A、数学I・II・A、数学I・II・A・Bが主な出題範囲となる。

国語
国語総合・現代文・古典を課すところが多い。

理科
物理・化学・生物の全範囲(基礎+専門)が中心、地学を入試科目とするところは少ない。

地理歴史
B科目が中心。

公民
「政治・経済」以外を入試科目とするところは少ない。

この他、入試科目に小論文がある場合は独自の対策が必要です。

 

現在の私立大学入試

私立大学の入試は、多様化が進んでいます。各大学は少しでも多くの志願者を集めようと、さまざまな入試方式を設定しており、同じ大学・学部であっても複数の入試方式による併願が可能な「複線入試」を導入しているところがほとんどです。ただし関西を中心に始まったこの複線入試も、問題作成や受験手続における大学側の負担増、入試方式のわかりづらさなどから、最近では全学部統一入試(後述)を導入する大学が増えています。

 

さまざまな入試方式

多くの私立大学が採用している代表的な入試方式について、2021年度の入試情報を例にして説明します。

◆共通テスト利用方式現在の私立大学の複線入試
現在の私立大学の複線入試の中心となっているのが「共通テスト利用方式」です。その名のとおり共通テストの成績を利用して合否判定を行う入試方式です。共通テストを受験することで複数の大学・学部に出願できるだけでなく、国公立志望者が併願しやすいため、現在では全私立大学の90%近くが採用している方式です。ほとんどの大学が大学独自の試験を行わず、共通テストの成績のみで合否の判定を行いますが、共通テストと独自試験の総合成績や、共通テストと独自試験のうち高得点の方を判定に利用する大学もあります。また、最近はこれらを組み合わせて複数回の共通テスト利用方式を設定する大学も多くなっています。多くの大学が一般選抜と同じ受験教科数としていますが、中には国立大学同様の6科目や7科目を課す大学もあります。

共通テスト利用方式実施例
「共通テストのみ(独自試験なし)」
・立教大学社会学部
・早稲田大学法学部
・同志社大学生命医科学部

「共通テスト+独自試験併用」
・早稲田大学政治経済学部[一般・共通テスト併用]
・上智大学文学部[学部学科試験・共通テスト併用]
・青山学院大学国際政治学部[共通テスト併用方式]

※共通テストと独自試験の成績を総合して合否を判定する方式は「共通テスト併用」のほか、名城大学のように「共通テストプラス」という名称を使用する大学もあります。ただし、名称は共通でも総合判定の方法については各大学ごとに異なります。出願時期に関しては共通テスト前に出願する大学と、早稲田大学や中央大学などのように共通テスト後も出願が可能な大学に分かれます。※2021年度入試に関しては、第一日程後。

◆全学部統一入試
全学部・学科が共通の問題を用いて同じ日に一斉に試験を行う入試方式です。複数の学部への併願が可能な大学もあります。一般選抜とは別日程で実施するため、同じ学部・学科を二度受験することが可能になるだけでなく、併願校との日程重複回避に利用することができます。

全学部統一入試実施例
・明治大学[全学部統一入試]
・南山大学[全学部統一入試]
・同志社大学[全学部日程]

◆試験日自由選択制
同じ学部・学科で複数の試験日が用意され、その中から受験生が都合の良い日を選んで受験できる入試方式です。中にはすべての試験日に同じ学部・学科を受験することが可能な大学もあります。併願校の試験日とのバッティング回避に利用できることが最大のメリットです。

試験日自由選択制実施例
・東海大学[文系・理系学部統一選抜]
・京都女子大学[前期A方式]

◆得意科目重視型
事前に申請した得意科目の配点に一定の倍率をかけて判定に利用する入試方式です。大学によっては、高得点の科目のみの点数で合否判定を行う方式を「得意科目重視型」と呼ぶ場合もあります。自分の得意科目を活かせる制度といえますが、その科目を得意とする受験生が集まるため、高倍率になる場合があります。

得意科目重視型実施例
・國學院大学[A日程]

◆学外試験会場(地方会場入試)
大学の所在地以外に設置される試験会場で行われる試験のことです。体力的にも経済的にも(交通費・宿泊代)、また地元で受けられるということで精神的にも負担が軽減され、メリットが大きい入試方式といえます。

学外試験会場実施例
・東京理科大学[B方式]…札幌・仙台・名古屋・大阪・広島・福岡
・法政大学[T日程]…札幌・仙台・新潟・金沢・長野・名古屋・大阪・広島・福岡

◆英語外部試験利用型入試
英語の学力試験の代わりに、英語の4技能(聞く、話す、読む、書く)を測定する資格・検定試験を活用する入試制度で、近年採用する大学が増えています。英検、GTEC、IELTS、TOEFLiBT、TEAPなどで基準スコアをクリアすることを出願資格とする大学のほか、みなし満点や加点利用する大学もあります。他の方式との併願の可否については、確認が必要です。

英語外部試験利用型入試実施例
・上智大学[TEAP利用型入試]※国際教養学部を除く
・早稲田大学文化構想学部[英語4技能テスト利用型]・関西学院大学[英語検定試験活用型1月出願]

 

受験時の注意

これまで説明してきたように、各私立大学はさまざまな入試方式を採用していますが、その内容については大学によって異なります。しかも一般選抜以外の入試方式は募集定員が少なく高倍率になりやすいため、容易に合格できるわけではありません。私立大学受験の際は、あくまで募集定員が多い一般選抜(主に3教科型)を念頭において受験対策を行い、自分の学習状況や受験計画に合わせて合格チャンス拡大のために他の方式を活用するよう心がけましょう。

 

 

特別選抜(学校推薦型選抜・総合型選抜)

大学入試には、ここまでに説明してきた共通テストと個別試験による「一般選抜」のほかに、学校推薦型選抜(旧推薦入試)や総合型選抜(旧アドミッション・オフィス(AO)入試)による「特別選抜」があります。私立大学では2007年度以降、旧一般入試による入学者の割合が5割を下回っており、半数以上が旧推薦入試または旧AO入試による入学者となっています(ただし、難関大学は一般選抜による入学者の比率の方が高い)。また、国公立大学でも学校推薦型選抜や総合型選抜の導入は進んでおり、国立大学入学者の約16%、公立大学入学者の約28%が旧推薦入試・旧AO入試で入学しています。

 

学校推薦型選抜とは

出身高校の校長から推薦を受け、高校が発行した調査書などで合否を判定する入試制度で「公募制推薦」と「指定校制推薦」に分かれます。

a.公募制推薦
大学が定める条件を満たせば、どの高校からも出願できます。選抜方法は面接や小論文で行われることが多く、評定平均や部活・高校在学中の活動実績等が評価される場合もあります。また、国公立大学では共通テストの受験を課す大学もあります。なお、公募制推薦には学業成績を重視する「一般推薦」と、部活動やボランティア活動の実績、資格や特技を重視する「特別推薦」があります。

b.指定校制推薦
大学が指定する高校や大学の附属(系列)高校からのみ出願が可能(大学が指定する高校の場合、募集人員は1高校あたり1〜2名であることが多い)です。そのため、合格した際の入学辞退は原則として認められません。

c.地域枠推薦
大学卒業後に大学の所在地で活躍することを出願条件として設けられた募集枠による推薦をいいます。地域によって深刻になっている医師不足を解消するため、特に国公立大学医学部の学校推薦型選抜で地域枠を導入するケースが多く見られます。なお、公立大学では大学設置の趣旨から、学部を問わず地元出身者を優先して入学させる方式として地域枠があります。その他、国公立大学では教育学部(教員養成系)、私立大学では看護学部でも実施している大学があります。

 

★おもな出願条件
出願にあたって特に確認しておかなければならないのは、「学業成績」「卒業年度」「併願の可否」です。

a.学業成績
国公立大学の場合、全体の学習成績の状況(評定平均値から名称変更)が4.0以上、学習成績概評ではAもしくはB以上を求める場合が多く、私立大学では全体の学習成績の状況が3.2以上、学習成績概評ではC段階以上(難関大学では、全体の学習成績の状況が4.0から4.5以上、学習成績概評A以上もある)が多い状況です。

b.卒業年度
出願が認められているのが卒業見込生(現役生)のみの大学もあるので、高卒生の場合、出願が可能かどうかは入学者選抜要項や募集要項で確認する必要があります。認められていても卒業年度に制限がある場合があるので、確認が必要です。

c.併願の可否
学校長の推薦を受けて出願するため、基本的に併願は不可ですが、大学によっては認めている場合もあります。ただし、認められている場合にも条件があるケースもありますので、必ず確認するようにしましょう。


★選抜方法
書類(調査書、推薦書、志望理由書など)、小論文(作文)、面接、口頭試問、プレゼンテーション等で選抜するケースが主ですが、共通テストや学科試験を課す大学も多く見られます。

 

総合型選抜とは

大学が求める人物像(アドミッション・ポリシー)に合致しているかどうかで合否判定を行う制度です。選考は書類や面接試験で行われるのが一般的ですが、通常の学力試験ではわからない受験者の意欲や適性を評価するため、内容は大学によってさまざまです。
高等学校長からの推薦書を必要としない「自己推薦」もこの区分ですが、大学によっては学校推薦型選抜の区分で扱っているところもあります。

 

★おもな出願条件
学校推薦型選抜と同様、総合型選抜でも「学業成績」「取得資格・検定試験」「卒業年度」「併願の可否」をおもな条件としているので、入学者選抜要項や募集要項で確認しましょう。また、総合型選抜において最も重視されるのは、大学が求めるアドミッション・ポリシーに合致しているか否かであるので、志望校のホームページなどで必ず確認しましょう。

★選抜方法
学校推薦型選抜同様、書類(調査書、推薦書、志望理由書など)、小論文(作文)、面接(ディスカッションを含む)のほか、体験授業への参加を求められる場合もあります。また、高校での活動や入学後に取り組みたいことなどを記す「エントリーシート」を元に面接が行われる場合もあります。このほか、自己推薦書や活動報告書などの提出を求められることもあり、学校推薦型選抜に比べて、「大学と自分とのマッチング」を深く求められる入試といえます。難関大学では共通テストを課す大学が増えています。

 

国公立大学での特別選抜例

2015年に公表された「国立大学の将来ビジョンに関するアクションプラン工程表」(国立大学協会)によると、学校推薦型選抜、総合型選抜、国際バカロレア選抜等の枠を拡大し、入学定員全体の30%を割り当てることを目標としており、拡大傾向は今後も加速することが予想されます。

この流れで2016年度から東京大学が学校推薦型選抜を、京都大学が「特色入試」という名称で学校推薦型選抜と総合型選抜を、お茶の水女子大学が「お茶大発新型AO入試(新フンボルト入試)」という名称で総合型選抜を導入しました。また、2017年度からは大阪大学も「世界適塾入試」(総合型選抜・学校推薦型選抜)を導入しました。2019年度からは神戸大学が「『志』特別入試」(総合型選抜)を、広島大学が「光り輝き入試」(総合型選抜・学校推薦型選抜)開始しました。

東京大学では出願時に「卓越した能力を有することを示す客観的根拠となる資料」の提出が求められました。京都大学では出願時に高等学校在学中の顕著な活動歴を記した「学業活動報告書」や、大学で何を学びたいのか、卒業後はどのような仕事に就きたいのかを記した「学びの設計書」の提出が求められました。そしてこれらの書類による選考を通過した志願者に対して面接が行われ、さらに共通テストで一定以上の成績を収めた者が最終合格者となる厳しい入試となっています。
このように学校推薦型選抜や総合型選抜では、一般選抜とは異なる対策を立てる必要があります。

 

用語集

◆アドミッション・ポリシー
大学・学部・学科ごとに示されている入学者受け入れ方針のこと。大学が求める学生像や目指す方向性を明らかにしたものです。

◆カリキュラム・ポリシー
教育課程の編成や実施の方針。

◆ディプロマ・ポリシー
学修の評価、学位授与の方針のこと。

◆エントリーシート
総合型選抜の出願時に提出する志望理由書自己推薦書や活動記録のことをエントリーシート(略してESと呼ぶことも多い)といいます。エントリーシー卜を中心に書類審査を行った後、小論文や面接、グループ・ディスカッションなどの二次審査を行うケースが多いため、エントリーシート記入の際には、単にこれまでの実績を羅列するだけでなく、自己アピールをするための文章力・表現力も要求されます。また、大学入学後の勉学・活動の計画の記入を求められることも多いので、受験生は事前にしっかりと将来の展望を考えておくことが必要です。

◆eポートフォリオ
高校生活において生徒本人が日々の学習や学校内外での活動を記録・蓄積したデータを電子化したもの。生徒本人だけでなく、教員にもデータを共有し、確認できるシステムです。

◆学習成績の状況 (評定平均値から名称変更)と学習成績概評
高校で学んだ各教科や全教科の成績を5段階で評価したものの平均値のことで、出願時に大学へ提出する調査書に記載されます。「各教科の評定平均値」は教科内の各科目の評定合計数を科目数で割った数値、「全体の評定平均値」は履修した全科目の評定の合計数をすべての科目数で割った数値で、小数点以下第1位までで示されます。学校推薦型選抜においては一般的に高校3年1学期までの評定平均値が選考の対象となります。この評定平均値をもとにして調査書の学習成績概評が決定します。国公立大学や難関私立大学においては、Aランクをとることが望ましく、Aランクのなかでも特に学校長が優秀と認めた場合は、と表記されます。大学によってはランクの者のみに出願を限定しているところもあります。

◆リメディアル教育
高校以前の学習範囲で学力が不十分な分野についての補習的な教育や、高校の授業から大学の授業にスムーズに移行するための導入教育。近年は、総合型選抜や学校推薦型選抜で学力試験が課されずに大学に入学した学生の学力不足を補うため、合格発表から入学するまでの期間に課題を課したり、大学の講義についてこられない学生向けの補習や復習などが増加しています。

 

 

 

海外で学ぶには

大学のグローバル化と留学制度

現代社会はグローバル化が急速に進んでいます。そのため、最近ではグローバル社会で活躍できる人材を輩出することが、大学の使命として求められるようになってきており、さまざまな取り組みが行われています。

 

政策としてのグローバル化

日本政府は2020年までに海外からの留学生受け入れを30万人にすると同時に、日本から海外大学への留学生の数を現在の約2倍となる12万人にするという目標を掲げ、留学を促進しています。その一環として、協力企業からの寄付金で留学希望者を支援する「トビタテ! 留学JAPAN 」(http://www.tobitate.mext.go.jp)などの取り組みが行われています。

また、大学のグローバル化を推進するため、「スーパーグローバル大学創成支援(SGU)」に取り組んでおり、タイプA(トップ型)13大学と、タイプB(グローバル化牽引型)24大学を選出しました。
これらの取り組みからもわかるように、現在、国を挙げた国際化や国際競争力の強化が進められており、そのために留学も推奨されているのです。

 

留学という選択肢

「海外留学」とひとことで言っても、高校卒業後に進学する方法と、日本の大学に進学後、海外の大学に留学する方法があります。また、日本の大学に進学後に海外留学する場合には、大学を休学するなどして個人で留学するケースと、在籍大学の留学制度(交換留学、海外研修など)を利用するケースがあります。志望大学にどのような留学や海外研修制度があるのか、事前に調べておくとよいでしょう。
いずれを利用するにしても、実現のためには大学が求める語学力があることが大前提になりますが、留学にかかる費用や提出書類についても忘れずに調べておく必要があります。