親のための大学受験サイト

親に言われて嬉しかった言葉は?

受験生を勇気づけるのはどんなひとこと?
ここでは、受験生が「これは効いた!」というお父さま、お母さまからの“言葉のビタミン”をご紹介します。

1日1日を大事に生き、生きるために勉強しなさい

両親から 東京医科歯科大学

縁がある大学に受かる。

不安になって相談したとき親から 立教大学

時間ではなく質を気にしろ

高3の春なんとなく勉強していたとき父から 明治大学

自分のやりたいことをしなさい。

悩んでいたとき父から 津田塾大学

自慢の娘。

受験に臨むとき母から 東京大学

受けてみないと結果はわからないからチャレンジしてみたら?

母から 青山学院大学

あれだけ勉強したんだから大丈夫

母から 青山学院大学

大事なのは結果じゃなくて過程、あなたがどう頑張ったかが大切

友人が合格して不安を感じていたとき母から 早稲田大学

どこへ行っても私にとってあなたの価値は変わらない

不安だった時母から 大阪大学

結果が出るのには時間がかかると思うけど、努力は裏切らない

模試ができなかったとき両親から 東北大学

問題は難しくて当然、自分の力を信じて答えを絞り出してこい

受験前日母から 東京大学

諦めるな、現実を受け止めて次のことを考えろ

センター試験の手ごたえがなかったとき母から 名古屋大学

 

 

 

こんな時親はどうすればいいの?

受験生のわが子の自己肯定感を育てる声のかけ方&接し方

CASE 1 成績停滞気味でモチベーションが下がっている

話を聴いて気持ちを整理する手助けを
モチベーションが下がっているときには本人にもその原因がわからない、うまく言えないことが多いもの。「なぜ大学受験をするのか、それが自分の将来とどうつながっているのか」というビジョンを見失っている可能性も。励ましがプレッシャーにならないように、本人が自ら目標や自信を取り戻せるようなお膳立てを。成績の話や親の気持ちはいったん胸に留めて、「何のために勉強したいのか」「将来の夢やどんな人間になりたいのか」について、本人の話に耳を傾けてみましょう。思いを打ち明けやすいように、相槌を打って話を聞いたり、頷いて話を受容するなど、会話にはゆとりと心遣いを。夢をありありと語ることは、自分からやる気を取り戻し、モチベーションを回復するきっかけになります。

 

・問い詰めたり叱るのはNG
・好きな分野や得意教科の話題で弾む会話を
・聴くことは相手に安心と自信を与える

 

OKワード

〇「うん、そうだね、わかるよ」
〇「それからどう思ったの?」
〇「受験勉強で得た知識はこれからの人生に活きてくるよ」

NGワード

×「この点数で間に合うの?」
×「誰々さんはもう志望校決めたらしいよ」

 

 

CASE 2 進路選択に賛成できない

わが子の将来なりたい姿に共感してみましょう
価値観が多様化し、AIやデータサイエンスといった新分野で活躍する人財が次々と育つ第4次産業革命時代。従来の文系理系では分けられない学部も増え、これまでにない学びの領域が台頭しつつあります。したがって、わが子の選択を保護者の価値観でダメ出しするのはNG。将来の可能性を狭めることになりかねません。それでも偏差値や学校名に納得できないときは、否定したり非難したりせず、わが子の希望ファーストで夢や目標に寄り添い、共感することから始めましょう。そのうえで、安易な選択をしていそうな時にこそ「こんな大学もあるよ」「やりたいことで選んでる?」と提案しつつ、「この道に進むにはこの大学のこの学部」という専門性や最新情報を親子でリサーチするといいでしょう。保護者も情報更新が不可欠です。

 

・本人の考えと大学の最新事情を受け止めて、 適切なアドバイスを
・新しい価値観を取り入れ、古い価値観は捨てる

 

OKワード

〇「その分野は新しくて面白そうね」
〇「こんな学部もできたんだね」

NGワード

×「聞いたことない名前の大学だな」
×「地方の大学だけど大丈夫?」

 

 

CASE 3 部活に夢中で勉強しない

打ち込む姿を受け止めてメリハリある時間配分を
部活で得られる仲間や経験はかけがえのない一生の財産。さらに、部活で培った体力や忍耐力は受験勉強にも発揮されます。勉強時間をしっかり確保できれば、部活との両立はむしろプラスと言えます。一方的に部活より勉強というジャッジをせず、ありのままの姿を受け入れて応援しましょう。疲れて帰宅したところに頭ごなしに「勉強は?」と言われても、本人には響かないもの。家でのリラックスが勉強にも部活にも役立つように、生活面のサポートを。例えば、眠くなる時間帯に無理に勉強させようとせず、帰宅したら食事やお風呂、睡眠などで一息入れさせて、疲労回復できる環境を整えるのも手。その分朝早く起きて勉強するなど、生活リズムにあった時間の使い方を。

 

・今は心配でも後から活きてくるのが部活の経験と心得て
・ありのままのわが子を受け入れる

 

OKワード

〇「お疲れさま、今日も頑張ったね」
〇「朝勉強したいなら6時に起こそうか?」

NGワード

×「部活ばっかりやってていいの?」
×「勉強は進んでるの?」

 

 

CASE 4 イライラ・カリカリに遭遇

時には距離を置いて有意義な沈黙を
勉強に打ち込んでいる時には、うまくいかないことやちょっとしたつまずきで、イライラが募るもの。塞ぎ込んだり、暴言を吐いたりすることもあるかもしれません。あまりためこませないように、できる限り些細な兆候を見逃さず、見守っていることを伝えましょう。顔色が悪そうなら「夕べは眠れた?」食欲がなさそうなら「何か食べたいものある?」など。無理に介入しようとせず、ガス抜きすることで話しやすい雰囲気作りを。しかし時には思いやりの言葉や態度さえ届かないこともあるものです。こんな時は動揺せず、あえてそっとしておくことも必要です。沈黙は決して悪いことではありません。何か言わなければと気にしすぎなくてもいいのです。大切なのは親子が安らげる空間に共にいるということ。会話が生まれない場面でも、それは本人にとって深く考えたり、模索したりしている有意義な時間であるかもしれません

 

・些細な兆候を見逃さない
・言葉や態度が届くよう、信頼関係づくりを大切に

 

OKワード

〇「どうしたの? 夕べは眠れた?」
〇「何かあった? お茶でも飲む?」

NGワード

×「なんだその態度は」
×「何があったのか言わなきゃわからないでしょう」

 

 

CASE 5 模試の結果に落ち込んでいる

不本意な結果をどう巻き返すか日々の小さな目標設定を
模試の判定が不本意だったからといって、親も一緒に落ち込まないで。2020年の大学入試改革の意図を思い出してください。「知識・技能」だけではなく、「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」が評価されるのです。不本意な結果を気にしすぎず、あきらめない力を試すチャンスとポジティブに捉え直してみたらどうでしょう。実際に、成績は努力次第で伸ばせるのですから。まずはしっかりと模試の復習からリスタートを。情報を集め直したり、スケジュールを組み直したり、日々の小さな目標設定から戦略を立て直すチャンスです。例えば、英単語を1日100個覚える、いつまでに参考書の何ページまで終わらせるなど、1日単位もしくは1週間単位の目標を立てたら、それを焦らず見守りましょう。お子さまが目標を達成したら、努力の過程を褒めて伸ばす。そうすることで仕切り直しスタートができます。

 

・模試の結果に一喜一憂しない
・あきらめない力を試すチャンス、とポジティブに捉え直す

 

OKワード

〇「どこへ行ってもあなたの価値は変わらないよ」
〇「頑張る姿がかっこいいぞ」

NGワード

×「なんでこうなっちゃったの」
×「志望校下げるか?一浪するか?」

 

 

CASE 6 スマホばかりいじっている

親子で納得のいくルールを作る
わが子が日常生活で大切にしているスマホの役割や価値が親とは異なっていたとしても、「勉強できていないのはスマホを持ったからだ」と全否定せず、親の正論を押し付けないようにしたいもの。スマホを使うことをやめさせるのは難しいので、勉強などの決まった時間帯は親がスマホを預かる、ゲームに充てる時間を決める、アラームを設定するなど、取り扱いに関してお互いに納得のいくルールを作るのがおすすめです。また、東進の高速マスターの活用など、スマホも勉強のためのツールとして活用させることで、自分でけじめをつけさせるのも良いでしょう。それでも難しい場合は、勉強の環境にスマホの使えない場所を導入してみては。図書館や予備校など、周りが集中している環境を利用するなどして、本人が自分自身で変わることが一番の解決策です

 

・本人にルールを作らせる
・親子でルールを作る
・スマホを全否定せず、勉強にも使わせる

 

OKワード

〇「スマホが邪魔ならいつでも預かるよ」
〇「スマホで隙間時間をうまく使ってね」

NGワード

×「スマホばかりいじってないで勉強しなさい」
×「スマホ取り上げるぞ」

 

 

CASE 7 寝坊・夜ふかしなど、生活のリズムが乱れがち…

叱る前に一呼吸置いて、環境を変えてみましょう

大学受験体制を整えたい大切な時に、思うような毎日が送れない……。この時期の生活リズムの乱れには、不安やストレスのサインが隠れているかもしれません。サボリや甘えと場当たり的に判断したり、その場限りで時間をせかしたりする前に、保護者も一呼吸を。お子様を変えなければと親が焦っては、不安やストレスの連鎖になりかねません。お子様の境遇に思いを寄せて、人ではなく環境を変えてみましょう。例えば親子の会話の時間を意識することを手始めに、会話から得られたヒントを元に食事や入浴時間を変えたり、リラックスタイムを設けたり。自己管理能力を意思や人間性に求めるよりも、すぐに実行できる作戦を考え、環境を整えることで、親子が別々にイライラしないリズムを取り戻しましょう。

 

・自己管理に大切なのは「意思」よりも作戦を考え環境を整える「スキル」と心得る
・わが子を変えようと焦らない

 

OKワード

〇「おはよう、よく眠れた?」
〇「おやすみ、明日何時に起きる?」
〇「疲れたら休憩するといいよ」

NGワード

×「どうしてまだ起きてるの」
×「今日の予定は終わらせた?」
×「自己管理できないのは意志が弱いせいだ」

 

 

CASE 8 話せる親友がいないようで心配

考えていることや感じていることを親子で話そう

自分のことをありのままに他者に話す行為のことを「自己開示」といい、誰からも好かれる人は、この自己開示をしていることが多いことが分かっています。自己開示には返報性があり、例えば失敗談をされると自分も失敗談を話そうという気持ちになるもので、そこで理解や共感が深められているのかもしれません。そんな自己開示の積み重ねが人と人が仲良くなる過程だと心に留めて、お子様がその機会に慣れ親しむことに協力しては。基本的には、親も普段から考えていることや感じていることをお子様に話すことから。このとき、親の望みや勉強や成績の話に終始するのは避けましょう。愚痴や悪口などネガティブな内容や、一方的な期待や干渉もいただけません。お子様の自己開示体験を共に楽しみましょう。

 

・相手と共通する事柄で、自分の考えていることや感じていることを話そう
・親友の有無にこだわらない。自己開示できることを大切に

 

OKワード

〇「今朝のあのニュース、どう思う?」
〇「今日こんないいことがあったよ」
〇「以前こんな失敗したことがあったんだ」

NGワード

×「友だちいないの?」
×「彼女(彼氏)いるの?」
×「ところで成績の話だけど」

 

 

CASE 9 学校に行きたくないと言われた

お子様のSOSを受け止めるのが最優先。子どもに寄り添って、一緒に考えよう

学校に行きたくないと言ってくるのは、ギリギリのSOS。親に向けた信頼や訴えをしっかり受け止めましょう。それには、いったん休ませることもとても大切な選択肢の一つです。そして、なぜ行きたくないのか何に苦しんでいるのかを冷静に考えましょう。そのうえで、保護者の反省や今の気持ち等をお子様にしっかりと伝えて、今後どうすればいいか一緒に考えさせて欲しいと話してみるなど、ぶれずにお子様の気持ちに寄り添い、味方であってください。現在は、文科省でも、学校に戻すことだけが全てではなく学ぶ機会が得られるようにすることが大切だという方針を打ち出しています。学校に行くことがつらいお子様が、苦痛や絶望ではなく夢や志を学べる環境をあきらめないために、サポートに徹しましょう。

 

・学校に関係なく、人生は続く
・休むことを認めないことで何を期待するのか、休むことを認めることで何を伝えるのか、親も自分に問うてみよう

 

OKワード

〇「わかった、今日は休みましょう」
〇「大丈夫、一緒に方法を考えよう」
〇「学べる場所はきっとほかにもあるよ」

NGワード

×「どうにか我慢してでも学校には行きなさい」
×「理由を言わなければ認めるわけにはいかない」
×「ちゃんと大学に行って成功して欲しい」

 

 

CASE 10 親身になってやりたいのに干渉するなと言われた

親の心配を子どもに投影しない、本人の意思を尊重することが大事

大学受験を取り巻く社会の変化も著しい今、高校生の進路を見守る保護者は気が気ではありません。それだけに、なるべくわが子との関わりを持っておきたいのですが、勢い余ってそれが過干渉と嫌がられることも。受験に保護者の行動や態度が影響することを考えれば、良き相談者、理解者、支援者としてちょうどいい関わりで接したいものです。それには、保護者自身の心配と、お子様に関する心配をしっかり区別して臨みましょう。保護者の不安をお子様に投影して先回りして否定したり心配したりすることが増えていませんか。今、お子様が興味を持つ大学の情報を調べたり実際に見学したりするなど、お子様の意思を尊重することを忘れずに。自分のことは自分で決めて行動していけるお子様を信頼し、見守り、助言する余裕のメンタルを大切に。

 

・保護者の不安を子どもの不安と混同しない
・本人の意思を尊重し、見守る立場を大切に

 

OKワード

〇「あなたの考えを尊重するよ」
〇「見守っているから安心してね」
〇「○○大学の○○先生の講義が聴けるらしいよ」

NGワード

×「望みは高く持ちなさい」
×「勉強したのか?成績はどうだった?」
×「○○大学?○○学部?聞いたことないな」

 

 

CASE 11 将来やりたいことが見つからない、わからないと言い出した

これまでの「常識」「当たり前」を親子で見直すチャンス

将来を考えれば不安になるのは当然なこと。私たちの生活様式は大きく変わりつつあります。先の読めない時代である一方で、視野を広げれば多様な情報や価値観から自由な選択ができる時代であるとも言えます。一人で遠い未来の自分に思いを馳せることが難しい時こそ、周りの仲間や先駆者たちが将来をどのように考え、行動しているのか、親子で情報収集するチャンス。保護者や友人や先生と気軽な話題にしたり、憧れの生き方を実践する人の書籍や資料を読んだり、実際に会いに行ったり話を聞きに行ったりすることで共有イメージを広げてみましょう。これまでの常識や古い価値観を幅広く見直す行動の先に、やりたいことが待っているかもしれません。

 

・一人で決められない・わからないときは、みんなで考え発見しよう
・お子様の好きなこと・夢・志につながる会話・行動を

 

OKワード

〇「人と違っていいんだよ」
〇「好きなことをがんばってごらん」
〇「今を大切にすることが将来につながるよ」

NGワード

×「その大学で就職できるの?」
×「何もしてないからわからなくなるんだ」
×「悩んでないで勉強しなさい」

 

 

CASE 12 夢を語り合えない

将来どんな人間になりたいのかを考えてみましょう

夢を聞かれて考え込んでしまうことは大人にも子どもにもあるものです。そんな時は、夢を切り分けて語ってみては。将来何を成し遂げたいかという個人的な側面からでも、社会にどう貢献したいかという社会的な側面からでもいいでしょう。それでもとらえどころがない時は、遠近法を取り入れて。早い段階で遠い将来を具体的に定めさせて視野が狭くなると、関心が変わったときに方向転換しにくくなる原因にもなります。まずは「何歳のときにどの会社でどんな仕事をしたいか」ではなく、「地元の発展に貢献したい」や「モノを作りたい」というぐらいの大まかなイメージでも十分です。その分、近い将来の夢はそれに沿った大学や学部を検討するなど具体的にしていくことで、将来への安心と多様な可能性の維持を両立していきましょう。

 

・夢が漠然とするときは、自分が成し遂げたいことから考えよう
・遠い将来の夢はざっくりとしたイメージで、近い将来の夢はありありと具体的に

 

OKワード

〇「おまえのいいところはこういうところなんだよな」
〇「世の中をどんな風に変えたいと思う?」
〇「それができる大学や学部の学びって何だろう」

NGワード

×「夢なんて見てもしょうがない」
×「世の中は悪くなる一方だ」
×「理想は合格してから語りなさい」

 

 

 

受験費用、学費、奨学金レポート

親子で話し合っておきたい大学にかかるお金の準備と使い方

『大学生活や学生生活の必要経費が上昇するなか、進学を不安にしない大学受験費用計画を立てるには?』

社会や経済の大変化を前に、学費捻出の不安は尽きないもの。受験費用や初年度納付金、自宅外から通う場合は家賃や光熱費などが上昇するなか、思い込みや情報不足で進路をあきらめたり変えたりすることのないように、進学にかかる費用や、使える制度を把握して、見通しや計画を立てましょう。

各大学でも独自の給付型奨学金や学費減免制度の拡充が進み、2020年からは文科省により「高等教育の修学支援新制度」(無償化)もスタートしています。これにより、2019年度には12,128人だった新規採用者数が、2020年度には199,366人にまで増加しました。進路への意識や進学意欲を共有することはもちろんですが、大学進学にかけるお金について、いつ何にどのくらい費用を充てるのか、それをどんな方法で賄うのか、お子様の将来の夢や目標にどうつながっていくのか、親子で話し合う時間を持ってみませんか。

 

大学入学から卒業までにかかる費用
いつ、何に、どれくらい?

大学受験にかかる費用

日本政策金融公庫によると、受験料や交通費等の受験費用は、国公立大学で277,000円、私立大学文系で313,000円、私立大学理系で322,000円となっています(2021年度)。ほかに、模擬試験や講習受講にかかる費用、受験する大学の数や組み合わせによって異なるものですから、まとまった入学金から細かな諸費用まで、お子様の受験スケジュールにかかる費用をトータルにつかんでおきましょう。


1.願書(募集要項)の取り寄せ
国公立大学は無料ですが、私立大学は無料と有料(数百円~千円程度)とがあります。近年ではインターネット出願を導入し、大学ホームページよりダウンロードする形を採る大学も増えています。

2.入学検定料(受験料)
大学入学共通テストの検定料は18,000円(3教科以上受験の場合)、私立大学は大学によって異なり、共通テスト利用方式で15,000円程度、一般方式で30,000~35,000円程度となっています。私立大学の共通テスト利用方式は、各大学の個別試験を受ける必要がなくても、共通テストとは別途に検定料が必要です。例えば、国公立大学志望で、国公立大学の前期日程と後期日程の試験と、私立大学3校(共通テスト利用方式1校、個別試験方式2校)の計5校を受験する場合は、約130,000円かかることに。私立大学では同じ大学における複数回受験(複数の学部を併願する場合や、同じ学部であっても異なる試験方式で受験する場合等)について受験料の割引を行う大学もあるので、利用して費用を抑えることもできます。各大学のホームページなどでしっかり調べておきましょう。

3.模擬試験や講習受講
大学入学共通テストを前に、講習受講や全国模試による力試しを希望するお子様も多いでしょう。高3になって慌てるよりも、高校入学時からお子様の性格や学生生活に合わせた年間を通じた計画を立てておきたいものです。

4.その他
学校の下見や試験会場にかかる交通費や宿泊費も計算しておきましょう。

 

大学入学までにかかる費用

1.入学金
合格した大学に入学する意志がある場合、入学金を納入して入学手続きに進みます。国公立大学と私立大学を併願するときに注意してほしいのが、第2志望の入学手続きの期限が、第1志望の入試や合格発表よりも前に設定されているかどうか。この場合、第1志望校に合格して入学することになっても第2志望校に納めた入学金は返還されません。複数の大学を受験する場合は、入学しなかった大学の入学金費用がかかることを覚えておきましょう。

2.学費
授業料や施設設備費、諸会費を春と秋の2 回に分けて納入するのが一般的です。初年度の春学期分は、入学金と同時振り込みとする大学も多いようです。金額は学校や学部で異なりますが、大学にかかるおかねの最大の出費金額にあたるといっていいでしょう。

国立大学の学費は、定められた標準額(昼間部の場合は入学金+授業料で817,800円)の120%を超えない範囲で各大学が入学金や受験料を自由に設定できることになっています(授業料は学部によらず同額)。現在は、千葉大、東京藝術大、東京工業大、一橋大、東京医科歯科大が授業料を値上げしていますが、その他の国立大学では標準額内に据え置かれました。

公立大学の授業料は概ね国立大学に準じますが、入学金については大学を設置する地方公共団体(自治体)の出身者を優遇することが多いようです。例えば、東京都立大の場合、東京都の住民であれば入学金は141,000円ですが、それ以外の者の入学金は282,000円に、名古屋市立大の場合は、名古屋市の住民であれば入学金は232,000円ですが、それ以外の者の入学金は332,000円となるなど。

私立大学では、同じ大学でも学部系統によって学費が異なります。「文科系」では約119万円で国立大学の約1.5倍、「理科系」では約157万円で国立大学の約1.8倍となっています。

3.その他
大学にかかるお金にはうっかり失念しがちな諸費用もあります。履修する授業ごとに必要な教科書やコロナ禍で進んだハイブリッド型授業(オンラインと対面の併用)に使うノートパソコン等の購入費、大学・学部によって必要となる実習費やユニフォーム代などは、事前にリストアップして計画的な準備を。入学式のスーツや靴は就活にも使えるものを前提に購入するケースが多いようです。進学を機に一人暮らしを始める場合は、引っ越し費用や家賃、家財道具の準備も計画的に。

 

学生生活にかかる費用

生活費には住居費、食費、教養娯楽費、書籍・勉学費が含まれます。自宅生と比べて、自宅外通学生で膨らみがちで、国公立大学で約3.2倍、や私立大学で2.8倍の費用を要します。それらを賄うのは、家庭からの給付(仕送り)が大半を占め、奨学金やアルバイト収入も充てられています。首都圏における自宅外通学の私立大学生では、高い割合を占める生活費は住居費です。しかし、家賃は上がって仕送りが減り、生活の支えとして奨学金やアルバイトによる収入が欠かせない状況が進むなか、コロナ禍でアルバイトができず困窮する学生が増加。入学金や授業料の減免、給付型奨学金の支給制度など、学生を孤立させない支援が欠かせないものとなりました。

 

現代の大学生の半数近くが活用する奨学金

奨学金とは、経済的理由により修学に困難がある優れた学生等に対し、教育の機会均等および人材育成の観点から「貸与」あるいは「給付」の経済的支援を行うもので、
①経済的援助が必要な学生を対象
②学業成績が優秀な学生を対象
としたものとがあります。
国の奨学事業を行う日本学生支援機構(以下、JASSO)によると、2020年度には大学に進学した学生の2人に1人が何らかの形で奨学金を利用しています。JASSOのほか、大学や地方自治体、交通遺児育英会などの団体が独自に行っているものがあります。JASSOのホームページではさまざまな奨学金制度について検索できます。親子で話し合って申し込み条件や時期を把握しておくなど、使えそうな制度は早い段階で正しく理解しておきましょう。

1.給付型(返済不要)
原則として返す必要のない奨学金。学習意欲のある経済的に困難な学生に対して、授業料・入学金を免除または減額し、返還不要な奨学金を支給します。しかし募集人員は少なく、家庭の経済状況や高校での学業成績などの条件が定められています。2020年度から始まった「高等教育の修学支援新制度」も給付型です。

2.貸与型(返済必要)
卒業後に返還が必要な奨学金。「無利子型」と「有利子型」があります。無利子型は借りた金額と返す金額が同じです。有利子型は借りた金額に加えて利子の支払いが必要ですが、借りるための条件が緩やかだったり、毎月支給される金額が大きかったりするため、必要以上に借りてしまうことのないよう、返還計画を考えて申し込む必要があります。

3.減免型
現金を受け取る奨学金と異なり、大学の入学金や授業料等の一部もしくは全部の支払いを免除する奨学金。受験生が経済的理由で就学困難になることがないように「予約型」として入学前に申請し、合格後に入学後の奨学金給付を予約できるものや、入試の成績優秀者に奨学金が支給されるものなど、大学独自の授業料減免制度も多く登場しています。

4.大学独自の支援
学生の置かれた状況や社会的要請を踏まえて、大学による経済的支援も進みます。目標とする大学について、お子様と一緒に調べてみましょう。

・東京大学「東京大学学部学生奨学金」
・東北大学「元気・前向き奨学金」
・九州大学「中本博雄賞修学旅行支援奨学金」
・早稲田大「めざせ!都の西北奨学金」
・慶應義塾大「学問のすゝめ奨学金」
・立教大「『自由の学府』奨学金」
・明治大「特別給費奨学金」
・関西学院大「ランバス支給奨学金」ほか

5.その他
奨学金は入学後に発効するケースがほとんどです。入学手続き時に間に合わず、入学金等が不足しそうな場合など、各種ローンの利用を考えるケースもあるでしょう。それには、国や金融機関が行う教育ローンや、大学が民間企業と提携して実施する学費ローンがあります。学生本人が借り手となる貸与型の奨学金とは異なり、保護者が借り手となります。


新しい社会でなりたい自分になることをあきらめないために

国際競争力が低下し、生産年齢人口も減少する中、お子様の未来の創造に学びがもたらす力は大きいもの。大学進学を通して、好きなことを追究し、高い専門性や技術力を身に付ける未来をあきらめないことは大切です。

2020年度から始まった、経済的に困難な学生等を支援する「高等教育の修学支援新制度(無償化)」。具体的には、消費税の増収分を財源として家庭の年収や成績など一定の条件を満たした学生に対して支援を行い、授業料等の減免に加えて、生活費として月額最大75,800円の給付型奨学金を支給するものとなっています。
支援が必要な低所得者世帯の経済的負担を軽減することを主眼としてスタートしているため、授業料等の減免額、給付型奨学金の支給額は、家計の状況や通う大学が国公立大学か私立大学かによって変動するほか、給付型奨学金については、自宅から学校に通うのか、自宅外(寮や下宿等)から通うのかによって変わります。

ただし、誰もが家庭の経済事情に関わらず学べる環境を整備することは喫緊の課題であり、給付型奨学金と授業料減免の中間層への拡大やライフイベントに応じた柔軟な返還(出世払い)の仕組みの創設などを経て、制度の見直しも進んでいます(2021年5月、扶養する子供が3人以上の多子世帯と私立の理工農系の学生の世帯を対象に、年収600万円の世帯まで給付の対象が拡大されました)。専門機関やプロの情報発信にもアンテナを張って、今できることから準備を始めましょう。

 

 

 

いつどこでどんなサポートが必要?

『AI超進化時代を受け、変わる大学受験。
大学で学ぶ意義や目的についてお子様の声を聞き、親子で語り、生き方を探究するチャンスです』

コロナ対策の緩和、国際情勢の動向、生成AIの登場など、社会の価値観やシステムの変化を受けて、大学の学びも大変化の時を迎えています。正解の見えない時代に、何を学び、どんな人生を切り拓くのか。今、受験生が熱い視線を送る大学や学部には、新しい領域でユニークな取り組みを導入する大学や、従来の学部の強みが再評価される大学などが次々と登場しています。

その傾向は、大学名や人気度など、親世代の常識だけで測れるものではなくなりました。大学受験に対して、固定概念や安定志向に捉われないことはもちろん、お子様の強みや関心は、何をいかに学び続けることで伸展していくのか、柔軟に向き合うことが大切です。ぜひ、お子様の夢や目標に関心を持ち、ふさわしい大学選びと受験について、お子様と語り、考えましょう。

受験が大きな試練であることはいつの時代も変わりません。今を生きるお子様の高校生活や受験のサポートに親ができることは、人生の先輩としての偏りやとらわれのない傾聴や、一番の理解者としての愛ある声かけ・働きかけ。その支えはとても大きなものです。

 

親の出番① 自立心を育む「信頼と見守り」

受験を前にすると、つい親もお子様の高校生活に過敏になってしまいがち。しかし、何もしなくても、親は子どもに影響を与える存在です。あれこれ口出しするよりも「好きなこと」「挑戦したいこと」を見守り、頼もしいアシストを。勉強の成績だけでなく、高校生活全般を通して、お子様が積み上げている成功体験や自信は、大学での学びや将来の目標設定に少なからず影響するものだからです。

勉強はもちろん、好きなスポーツや特技を伸ばす習い事や地域とつながるボランティアなど、お子様の取り組みや活動を親が信頼できる関係は、自立心を育てます。各大学でも、大学教育を受けるにふさわしい受験生の能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価・判定するとしています。

 

親の出番② 夢や志を明確にする「相談と応援」

説明会や面談などをはじめ、子どもだけでは決められない・わからないことについて、一緒に考え、寄り添い、語り合う時間は大事な親の出番のひとつ。お子様の相談には気軽に応じたいものです。親の意見を与えたり選択させたりしようと考えず、お子様の思いを聞き、その理由を聞き、一緒に答えを導く姿勢で、スムーズなコミュニケーションを。

大切なのは親の答えを押し付けることではなく、お子様が自分で答えを見つけることです。いつでも相談できる関係から、お子様が自分の考えを深め、やがて自分の夢や志に気づいていくことができれば理想的。お子様が不安を言葉にできる関係づくりを心がけたいものです。

かわって、表面的な振る舞いや、上から目線の指示・命令には注意が必要です。「○○大・△△学部がいいに決まってる」といった決めつけや、「ちゃんと勉強してるのか?」といったプレッシャー、「○○さんはもう受かったんだって」といった比較は控えましょう。第一志望校の日程に無理はないか、受験日は重なっていないかなどをさりげなく気遣ったり、お弁当のおかずに好物を入れたり、一緒に大学の下見に出かけたり……普段と変わらない日常から、応援する気持ちを伝えたいものです。

親の出番はここ!

進路説明会
最新の進路情報を保護者の立場からお子様と共有しましょう

三者面談
お子様の思いに対して、黙らず、けんかせず、任せきりにせず、意思の疎通を

奨学金検討
利用するかどうか、親子で共通理解を持っておくことが大切です

日常生活サポート
不安やストレスをためないための運動や趣味、休息やリラックスの時間に理解を示して

受験準備サポート
受験手続きや資料準備、試験申し込みなど、お子様と協力して必要なサポートを

自立応援サポート
保護者が語る専門業界や職業の体験談は、お子様の視野を広げるヒントに

 

受験生・保護者・東進・AIの総力戦!学年別受験対応スケジュール

親としては、お子様に無理のない志望校対策を実践してほしいもの。高3生の振り返り・見直しの時間はもちろん、高2、高1のうちから将来を考える時間を大切にしましょう。

保護者もぜひ知っておきたいのが受験計画におけるAIの活用です。過去15年以上にさかのぼって受験生の学習履歴、大学・学部の出題傾向、難関大学の合格実績を独自分析してきた東進は、そのビッグデータを基盤として、設計・開発・システム化・運用までオリジナルの学習システムを構築しました。受験生一人ひとりの学力診断・受験計画に基づいて得意・不得意を洗い出し、取り組むべき単元・ジャンルとその優先度を明確に指導する信頼と効率は、ますます進化しています。

たとえば「志望校別単元ジャンル演習講座」は、限られた時間で苦手克服や難関突破に挑戦したい受験生に支持されている人気講座です。AIがお子様の過去問演習講座等の学習状況と志望校の入試傾向を判断し、30万問を超える演習データベースから厳選してお子様に個別最適化した学習課題と演習問題を提案。学部・学科合格に必要な強化ポイントを徹底的に洗い出して、演習問題を提供します。教科書の単元修得から得点力を積むことと並行して、複数の単元を横断した「ジャンル」を演習することで、勉強時間の効率や質をアップデートしながら苦手意識を払拭するのはもちろん、大学が求める回答に迫る課題発見や解決のプロセスを自ら養う力をバックアップします。

受験も大学生活も、親の時代にはもう戻りません。東進では、教育システムの柱である「高速学習」をはじめとした最先端テクノロジーを土台に、実力講師陣や担任、大学の先輩となる担任助手まで、受験や学習のスペシャリストによる温もりある指導を融合して、AI超進化時代の受験計画を支えます。かなえたいのは、お子様一人ひとりの高校生活の充実と、その先の人生につながる夢や志の応援です。

 

高1生

お子様とチェック
高校合格時はお子様の自己肯定感や将来に対するモチベーションが高まる時期。
高校生活でどんなチャレンジをするか、進みたい大学はどこかを話し合いながら、夢につながる行動を親子で計画しましょう。

 

高2生

お子様とチェック
思考力・判断力・表現力など内面の成長が著しい時期。部活や夏休み(春休み・冬休み)を充実して過ごすのはもちろん、講習や模擬試験でも十分な達成感が味わえるよう、積極的な挑戦を後押ししましょう。

 

高3生

お子様とチェック
いよいよ受験本番。高校生活の集大成の時であり、さまざまな試練も経験します。思うような結果を出せなかったり、周囲との比較に苦しんだりすることも。
子どもの一番の理解者として、否定せずに応援しましょう。

 

 

 

親子の健康習慣(メンタル編)

たまってしまう不安やストレス
あきらめる前に、今できることを

受験は人生の一大イベント。親子にとって、不安やストレスのたねは尽きないもの。いつの間にか少しずつ蓄積される心の負担を限界にしないためには、抱え込まずに手放すに限ります。しかし、頭ではそうわかっていても、うまくいかないのはなぜでしょう。たとえば、考えたり悩んだり、「頭」だけで解決しようとしていませんか。脳は日々のあらゆる疲れを処理しています。負担がかかり過ぎると、日常の活動を調節する能力やパフォーマンスが奮わなくなり、神経過敏や情動不安定になったり体調不良に陥ったりするなど、その影響は想像に難くありません。

そんなときは、考えるより行動を。放っておけば膨れあがりそうな不安やストレスは、小さく分けて対処してみましょう。日常の中でできる簡単な変更や無理のない習慣などを実践して、トータルで見直したり組み合わせたりしながら、改善できそうなことから変えてみる。すると、思わぬパフォーマンスの向上や心の回復、自分や家族への信頼につながる気持ちの変化などを体験できるかもしれません。小さな気づきを大きな変化につないでゆく無理のないメンタルケア習慣。ぜひ、お子様と一緒に保護者も気軽に取り入れてみましょう。

 

悩みを大きくしない&させないための1日3分セルフチェック

メンタルの不調は、ある日突然現れるわけではありません。日常の行動や言葉や態度の端々から現れる予兆を軽くあしらわないことは、誰でもできる簡単で強力なメンタルケア。日常的なチェックを習慣にすると、保護者がお子様の様子を確認するのはもちろん、保護者自身の自己管理にも役立ちます

おすすめは、1日に3分間ほどわが子と自分自身を落ち着いて客観的に眺めること。気になるなと感じたら、声をかけて話を聞いたり環境を変えたりするきっかけにすれば、ケアも大袈裟になりません。簡単なチェックリストを紹介しますので参考にしてください。その際はお子様や家族の粗探しや揚げ足取りに走らないように気をつけて。それではむしろ逆効果。3日、1週間、1ヶ月と見守ることで、「いつも通り」が「いつもと違う」と気づけるのです

 

ストレスをためないための「ある行動」とは?

脳は、迫る危険や不安や恐怖などに対して心身の緊張状態で備え、それらが去ればリラックスして活動状態に戻る神経回路を常に働かせています。こうして日々「生きる」という究極の目標を達成し続けているわけです。ところが、複雑な現代社会では、脳にストレスのスイッチが入りっぱなしということも少なくありません。そのため、「大丈夫」と感じられる回路の働く機会が減るほどにメンタル不調も増えてしまいがちに。そこで日々のセルフチェックの出番です。

メンタル不調に気づいたら、脳の活動モードを呼び起こす一工夫を。いつもの行動を、安心や満足や幸福を感じる行動に変えてみましょう。眠る時には「よかった」「大丈夫」と思い浮かべて眠る、食事は「おいしそう」「おいしい」「おいしかった」と味わって食べる、勉強するときには「大学に合格した自分」をありありとイメージして取り組む、という具合です。

コツは難しく考えないこと。ただ行動するだけです。はじめのうちはピンと来なくても、続けるうちに習慣になって、自然な笑顔でも出たらしめたもの。思い出してください、脳は目標を達成するために心身を制御する回路を持っています。日常の行動に満足を重ねていく習慣は、心身のリフレッシュやパフォーマンスの発揮といった好循環へとつながって、その延長に幸福な目標達成があるのかもしれません。その真逆のメカニズムが、ストレスフルな状態から不安や恐怖が膨らみ、望まない現実を引き起こすことなのかもしれません。

幸せに目標達成!いつもの行動を変える一工夫

心・満足・幸福につながる言葉を使う

「大丈夫」「おいしい」「うれしい」「楽しい」「ありがとう」など、会話や思考の端々に盛り込もう。

減らしてみよう、マイナスの呪文
「無理」「別に」「意味ない」「どうせ」「イラつく、ムカつく」など……

む・歩く・話すで行動を変えて気分も変える

深呼吸や休憩、近くを散歩、友人に相談など、リラックスして脳が満足すると、次は意欲が湧いてくる。

動かしてみよう、体と心
ほどよい気分転換で五感をフル活用することを楽しもう。直感力や記憶力、イメージ力も刺激される。

かった・よかった・できたと先取り成功体験

成功イメージを取り入れた受験勉強は困難も楽しめるが、完璧主義や自己否定はストレスがたまる。

ゆるめてみよう、いつもの思い込み
人生は悪いことばかりではない。ダメと決めつけずムリと悲観せずに、興味や関心を広げていこう。

 

幸福を感じることは、よりよく生きる第一歩

これまで勉強や仕事や家事をストレスと感じていたとしても、それで自分をダメだと頭から決めつける必要はありません。見方を変えれば、お子様や自分の中に眠っている能力やパフォーマンスに気づくチャンスです。軽い運動やバランスの取れた食事、快適な睡眠などと一緒に、自己肯定感や自己回復力を引き出すメンタルケアを取り入れて、親子でより良く生きる習慣を実践しましょう。

脳や心のメカニズムは測れないと思われてきましたが、AIや脳科学、心理学も進歩して、定量的な理系の学問からもその働きが次々と明らかにされています。まずは1日3分、ささやかな言葉や行動から。幸福に反応する心身に次々とそのたねを蒔いて、目指す受験はもちろん、その後の大学生活や社会人生活のあり方や生き方をバランスよく育てていきましょう。

 

 

 

実力講師陣による父母のための難関大合格講座レポート

東進英語科講師 安河内 哲也先生

安河内 哲也 先生

ホンモノの英語力を、とことん楽しい授業で身につける、言語活動型授業のエクスパート。とにかく楽しくて成績が上がり、英語が大好きになる授業で全レベル、全年齢の生徒に大評判。リスニングや検定試験にも精通し、英語4技能の指導法を知り尽くしている。また、教員研修、大学の特別講義、企業研修でも英語を教えている。英語学習法関係のベストセラーも多数。まさにMr. 4Skills。

共通テスト突破のカギは正しい勉強法
英語が話せる人がまれな日本の英語教育

本日は、①英語教育の現状、②効率のよい英語勉強法、③お子さんのやる気を引き出す方法をお話しします。日本の英語教育の現状をみると、残念なことに、長年勉強しているにもかかわらず、わずかな人しか英語が使えるようになりません。ちなみに世界では、日本よりもはるかに習得率は高いです。

文部科学省の高等学校指導要領には、英語は4技能「聞く・読む・話す・書く」を融合的に指導するようにと記されています。一方、大学入学試験では、長い間1〜3技能のみが問われてきました。そのため、難関大学に合格しても、バランスのとれた英語力を身につけているとはいえないわけです。

これまでの思い込みとして、まず「読む・書く」をしっかりやって、「聞く・話す」はあとから取り組めばいい、という考え方がありました。でもこのやり方では、なかなか英語はできるようにはならないでしょう。4技能は融合的にやるのが一番伸びるのです。

グローバルを舞台に専門性を発揮する国際系学部・学科

日本人が見落としている点があります。それは、同じ内容の英語であれば、聞ければ→読める。話せれば→書ける。この点です。しかし、必ずしも読めれば聞けるわけではなく、書ければ話せる訳でもありません。だから、音を使った訓練を中心にすれば、4技能を高速で効率的に伸ばすことができるわけです。

さらに、文部科学省が国公立300校の高3生約6万人に行った英語力調査でも、話すことの重要性が指摘されています。スピーキングを取り入れている学校では、そうでない学校よりも、リスニング力で約1・4倍、リーディング力で約1・3倍スコアが高かったのです。

最近では、4技能を問う試験を出題する、あるいは資格・検定試験のスコアで出願できる大学も増えています。高校入試でも、東京都が公立高校の入試にスピーキングテストを導入します。

このような状況を踏まえ、将来も役に立つバランスのとれた本物の英語力を身につけ、入試もクリアできるプロセスをお話しします。

子どもをやる気にさせるには?さりげなく導く

最後に、お父さんお母さんが、お子さんのやる気をなくさせているのか、高めているのか検定してみましょう(右図)。

私は九州の田舎育ちで、父は線路を作っている会社のサラリーマン。私自身、高校時代はちょっと脇道に外れたりして、親の言うことを聞く耳はまったくありませんでした。親が強く言っても「はいはい」と聞く子はそうそういません。ただ、私が英語に取り組むようになった経緯を振り返ると、その原点には、父が映画館に「スターウォーズ」を観に連れていってくれたり、洋楽のLPレコードを買ってくれたりしたことがあります。子どもに興味が持てるように「ギンギラギンにさりげなく」が父親はいいと思います。

東進英語科講師 今井 宏先生

今井 宏 先生

予備校界の大物講師。ズバリ的を射たフシギなほどわかる授業、心地よいスピード感と豊富な話題、あふれる知識で、受講生を魅了する。
「何でこんなによく理解できるの?」という驚きでいっぱい。生徒の充実感は200%。専攻は国際関係論。
成績アップはもちろん、英語にとどまらない話題豊富な授業内容に、君の見識が広がること間違いナシ。著書多数。

「日本人は英語を読めるけど、話せない」は本当?

英語について、「日本人は読めるけど話せない」とよく言われます。

でも「英語が読める」って、本当なんでしょうか。今ここに現代英米小説を持ってきたとして、1時間で何ページ読めますか?日本語と同じように、4〜5時間で1冊読み通せる人が、日本人の何%ぐらい存在するでしょうか。むしろ「英語は読めません」というのが正直なところなんじゃないか。「読める」というのは実は間違いで、「やっとのことで訳せる」とか、もっと正確に言えば「辞書と首っ引きで、1時間に3〜4ページがやっと」というのが現実なんじゃないか。厳しい言い方をすれば「英語は読めないし、話せない」が実情だと思います。

中高生のお子さんのほとんどが、「一番苦手なのは長文読解だ」と答えます。つまり中高生の場合、「読むことが最も苦手」「読めないし話せないが、時間をかけて少量の英文を和訳することができる」が現状です。「読む」とは、「英語を英語のまま理解する」ということなのに、「日本語訳を通じてやっとのことで分かった気になっている」に過ぎません。実は「読めるんじゃなくて、訳せるだけ」。そろそろ我々は、古い認識から卒業する必要があります。

「国公立大の入試は記述問題中心、私立大は選択式問題ばかりで、重箱の隅をつつくような難問だらけ」。これもまた大昔の話。今から30年前、1980年代の入試問題にはそういう傾向が残っていましたが、少なくとも2016年の入試問題を見るかぎり、国公立も私立も出題傾向にそんな大きな違いはなくなっています。

それなのに、こういう古い認識の結果、大学入試の英語ばかりが悪者にされてしまう。「どんなに受験勉強を必死になってやっても、実際に使える英語は身につかないぞ」と言うんですが、それってホントでしょうか。

知らないのは大人だけ。大学入試の英語はこんなに進化した。

2020年の大学入試改革に向け、各大学は入試問題をますます実用英語化する努力を重ねています。実はもう20年も前から、そういう努力がなされています。例えば、30年前の早稲田大の読解問題では、20分でせいぜい30〜40行読む力があれば何とか間に合いました。

しかし最近の入試を見ると、20分で100行超を読むぐらいの力がないと対応できません。英文の難易度も高まって、英エコノミスト誌に掲載された論文の引用や、キング牧師による超長文の手紙など、ホンモノの読解力が必要。訳すんじゃなくて、英語を英語のまま理解する、いわゆる「速読力」が必要です。英作文も進化しています。昔は例文をたくさん暗記していれば何とかなる「和文英訳」でしたが、今の主流は「自由英作文」。例えば「喫煙を非合法とするべきか否かについて100語程度で自由に書きなさい」「小学校から英語を公教育に取り入れることに賛成か反対か、100語程度の英語で書きなさい」など、昔とは丸っきり出題の仕方が違います。今や英作文で求められているのは、昔のような「ゆっくり通訳する能力」ではなくて、「スピーチ能力」。素早く英語でスピーチを組み立てる能力がないと、対処できません。

リスニングも、30年前と比較して圧倒的に高度になりました。優秀なお子さんが第一志望と考えるような難関大のリスニング問題を聞いてみると、「これはもうハッキリ実用英語」と、自信をもって言える内容です。「講義形式」と「インタビュー形式」に二分できますが、前者も後者も英文は約7〜8分、遠慮なしのナチュラルスピードで、しかも1回しか聞かせてもらえないことも多い。中身もきわめてハードで、環境問題に関する討論だったり、異文化コミュニケーションに関する独白だったり、それに対する設問が10問も15問もついて、英語資格試験と大差ない難易度です。

ハイレベルな問題だからこそひたすら基礎!

今の段階で、大学入試の英語はここまで進化を遂げています。それなのに、世間の認識はいまだに「受験勉強なんかやったって、実際に使える英語は身につかないぞ」のまま。早く認識を変えないと、受験生たちが困ってしまいます。

今や大学入試で必要とされる英語力は「速読力」「スピーチ能力」「リスニング力」。これだけ揃ったら、これはもう十分に世界で通用する実用英語と呼んでいいんじゃないでしょうか。受験勉強をやればやるほど、実用英語能力が身につく。お子さんたちには自信を持って、受験勉強に夢中になってほしいと思います。しかし、入試問題がこんなに難しくなった今だからこそ、基礎の徹底が一番大切です。東進では、受験勉強の入口でまず単語・文法の修得を徹底します。基礎を身につけた後で、じっくり長文読解や自由作文に取り組むわけです。基礎ができていればマラソンで30分先にスタートしたようなもの。10㎞も先んじていたら、簡単に負けることはないでしょう。

100行超の長文でも、慌てることはありません。1分で6行読めれば余裕です。1分で6行なら、120行あっても20分で読み終える。基礎基本を徹底していれば十分なスピードで、慌てふためいて特殊な速読法に走る必要は皆無です。今は落ち着いて基礎基本の徹底を心がけるのがベスト。スタートラインでは、まず英単語と英文法の徹底、そして毎日30分の音読の励行、この2点に集中していただきたいと思います。

東進英語科講師 渡辺 勝彦先生

渡辺 勝彦 先生

基礎から難関大英語までどのレベルにおいても、その指導力は「予備校界の達人」と呼ぶにふさわしい。「受験を楽しむ」極意を伝授し、ごく平均的な高校生を難関大に多数合格させた実績はまさに圧巻。「スーパー速読法」を駆使して、難解な長文問題も速読即解が可能に。明快な口調とテンポの良い授業は時間を忘れてしまう! いつまでも終わってほしくない、とにかく面白く感動的な授業が全国の受験生から大絶賛!!

現在の学力や好き嫌いは全く関係なし、全てリセット

トップレベルの難関大学に現役で合格するには、現在の学力は全く関係ありません。また、現在の成績も全く関係ありません。なぜなら各大学の入試問題の傾向は予めわかっていますので、正しい方法で英単語を覚え、長文を読み、英作文を書けば、誰もが本気で難関大学を目指せるからです。同様に、英語の好き嫌いも全く関係ありません。好き嫌いは知識や情報量に比例します。英語嫌いと言っていたのに、知識が増えるにつれて好きになり、なかには英語の教師になる人もいますから。この私です。

ですから過去はすべて「リセット」してください。英語は応用を学びながら同時に基礎を補っていくことだって可能な科目です。一旦リセットして、ゼロから本気になってスタートすれば、最短で3カ月、遅くても半年あれば、トップレベルの英語力に近づけるのです。すべてにブレーキをかけてしまう「今さらムリ、どうせダメ」という気持ちもリセットしましょう。逆に英語が得意という生徒も、一度リセットしましょう。得意という油断が、苦手に変わってしまうことがあります。得意だからこそリセットして、本当の意味で、英語を完成させることを急いでください。

難関大学現役合格までの絶対なるシナリオ

これからお話する『難関大学現役合格への絶対なるシナリオ』を守ってくだされば、皆様のお子さんはきっと志望大学に現役合格できるでしょう。そのシナリオとはズバリ、「英語は、高2の3月31日までにケリをつける」。つまり高2の3月末までに、「志望大学の過去問を制限時間内に解ききり、ほぼ合格点に近いレベルに到達する」ことです

なぜ、英語を高3に持ち越すと厳しい状況となるのか? 例えば2017年の早稲田大学法学部の入試問題で見てみましょう。7つある大問のうち、第2問1つだけで2000語近くあります。センター試験の英語問題全ての合計が約4000語ですから、いかに分量が多いかがわかります。高3で突然このような超長文の過去問に取り組むと予習だけで数時間かかり、復習する余裕などありません。しかし、高2の3月末までに英語のケリがついている生徒は予習と復習を合わせても30分もかからないでしょう。高3に英語完成を持ち越すと、逆転どころか、学力差はますます広がるばかりです

高2の3月末までにケリがついた生徒は、高3ではこの英語力を維持するだけで済み、余力を理科や社会などの他教科に使えます。また、英語のセンター試験本番レベル模試の結果を見ると、東大に合格した生徒は高3の4月時点で英語は約9割の得点率で、同様に難関私大・国公立大の生徒も、高3の4月で約8割となります。つまり、どちらの生徒も高3の4月の段階で英語のケリがほぼついていることがわかります。次に他教科の一つとして日本史の例を見ると、難関大合格者でも、高3の4月では約5割の点数ですが、12月には合格ラインに達します。英語にかけていた膨大な時間を他教科に振り向けた当然の結果でしょう。高3では誰もが必死で頑張るのは当たり前のことなのです。難関大学現役合格のポイントは高2の3月までに英語のケリがついているか否かなのです

英語のケリのつけ方はこれだ!

現在の英語入試問題は、ご父母の皆様の時代よりもレベルが高く、実用英語に近い内容です。例えば、先程述べました早稲田大学法学部の英作文の問題では、世界の人口の増加のグラフを見て、読み取れることを英語で説明し、その結果、人類が将来直面する問題点について相当長い英文でまとめるなど、極めて難解なものとなっています。いわゆる「受験英語」という言葉は、もはや死語なのです。

では、どうやってケリをつければいいのでしょうか。まず、『英単語センター 1800』を使って1800語の英単語を1カ月で覚えてください。難関大学の長文に出てくる英単語の97%以上は、この1800語に集中しています。次に即戦力となるのが英熟語。『英熟語センター750』を単語と同時進行で1カ月で覚えます。英文法の整序問題や長文問題の空所補充には、英熟語を知っていれば解ける問題が少なくないのです。そして次は英文法。分厚い英文法の参考書を丸暗記するのではなく、大学入試に頻出の英文法の問題を、東進の『システム英語文法編』を使って、徹底的に短期集中でマスターします。その後は構文を150〜200個、音読して覚えてください。構文は、文法と長文の橋渡し的役割を持っています。また、構文中の単語を入れ替えれば英作文も書け、音読することで英語を話す力が同時に身につきます。

最後に、英語長文は、前から順に意味のかたまりごとに区切りながら読み、後ろの情報を前に継ぎ足すように理解していきましょう。段落ごとに要点をつかむパラグラフリーディングを駆使し、文章中にちりばめられたさまざまなディスコースマーカーを意識して読むことで、長文を速く読める力がつきます。私の場合は、『スーパー総合英語』の講座で、生徒たちに1分間で150語を目指させます。

最後になりますが、お子さんが、過去も未来も断ち切って、今日一日に全力を尽くしきるよう励ましてください。ご父母の皆様ご自身も、恐れず新しいことに挑戦し、今日を大切にする姿を、お子さんにお見せになって、ぜひとも最後までお子さんを信じて暖かく見守ってあげてください。

東進英語科講師 大岩 秀樹先生

大岩 秀樹 先生

先生の情熱あふれる授業は、英語アレルギーの生徒でさえ英語好きに変え、英語を得意科目にしてくれる。
また、『英語をカタマリで読み解く』『本物の基礎力にこだわった明るく楽しい』授業は、幅広いレベルの受験生から大好評!『知らず知らずのうちにどんな問題にも通用する本物の力が身につく!』と評判の気鋭の講師。

これからの大学入試は"科目の垣根"がなくなっていく?

大学入学共通テストは知識・技能にとどまらず、思考力や判断力、表現力を問うのが共通テストの目的です。従来の試験なら与えられた情報はすべて活用することが前提の問題でした。しかし、 共通テストは必要な情報を選んだり、組み合わせたりして、ときには設問だけで解答できる問題も出題されます。数学でも、出題の意図を読み解く、つまり、国語の勉強がしっかりできていないと解答できないような形態になっていくと予想されます。そして、英語はこれまでの筆記がリーディングと改められ読解中心に、さらにリスニングの比重が大きくなり、リーディングとリスニングは均等配点になります。

最終的には共通テストを総合的な一つの試験にしたいという理想があり、科目の枠組みはこれから取り払われていくと予想されます。教科の垣根を越えた総合的な視点を持ちながら、科目別の対策を立てていきましょう。

外国語学習のポイントとは

まずは、基礎基本の徹底です。つまり、語彙力増強と基礎文法の徹底理解、英文の読み方の甚本の習得です。共通テストのリーディングは読解中心のテストとなり、試験時間80分で総語彙数は5000 ワード以上になる見込みです。語彙力を駆使した訳読のみでは時間が足りなくなりますので、「基本が使える」ことが重要になります。

また、リスニングではセンター試験は全問2回の放送ですが、共通テストでは1回のみの放送が 導入されます。 結果、問題数が増えますので試験時間の約30分、フルで集中するトレーニングを普段からする必要があります。加えて、これまでのリスニングはアメリカ英語が中心でしたが、今後はイギリス英語や英語を母語としない人の英語も出題される予定です。
つまり、日常の音読学習がリスニング対策の一環になりますので、音源を活用した正しい音読が重要になります。単語や英文法は努力により短期間でも習得可能ですが、リスニングは耳作りが必要なため、努力しても数力月程度では身につきません。今すぐ始めることが何よりも重要です。

本物の基礎力≒応用力を身につける

学習に基礎・基本が大切なのは言うまでもありません。しかし、合格できない受験生の大半は、基礎・基本の意味を理解していないのです。基礎・基本は「簡単なこと」、応用は「難しいこと」ではありません。基礎・基本問題は一つの知識で解答可能な問題、応用問題は二つ以上の知識、つまり基礎・基本を総合して解答する問題なのです。ですから、解答が正解でも、正解の理由が分からず正解しているものは本当の実力ではありません。普段の学習はもちろんのこと、模試などは特に正解の理由が説明できるようになることが重要です。高3になる前に終わらせるべき課題は、本当の意味での基礎力養成です。思考カ・判断カ・表現力の礎となるパーツを取り揃える。また、「インプットのためのインプットではなく、アウトプットのためのインプット」という意識を持って学習することで、身につくカが大きく違ってきます。

強くおススメしたいのが、音源を用いた音読学習の習慣化です。この学習により言語力も向上し、リスニングのみならずスピーキング力も向上します。また、繰り返し学習も重要です。書く・読む・聞くなどさまざまな角度から繰り返すことで、学習内容の定着力がさらに強くなります。

最期に、ご父母の皆様にお願いです。 本番が 近づくと、A判定を取っている受験生でも不安を覚え、志望校を下げてしまうことさえあります。自分1人と考えてしまうと萎縮してしまいがちですが、受験は個人競技ではありません。学校、家庭、予備校そして支え合うライバルである友人など、「皆で乗り越える」という感覚を持ってほしい。それには、周りの大人が同じ情報を持ち、同じ方向を向くことが重要です。しかし、家・学校・予備校は、その場にいるお子さまの顔しか知らないのも事実。そこで、面談などに足を運び、三者が同じ情報を共有するための架け橋となっていただけますでしょうか。最後に、お子さまには「貴方をちゃんと見ている」と伝えること。親の言葉はほかの誰の言葉よりも、受験生の強い心の支えとなるのです

東進数学科講師 河合 正人先生

河合 正人 先生

延べ20万人以上の生徒を指導し、数多くの締切講座を記録する予備校界を代表する講師。
本物のプロ意識で指導し、第一志望校に合格した受験生は多数。作問者の考えにまで及ぶ「流れを大切にする」授業では、心底から数学の面白さを体感することだろう。
『センター数学分野別問題集』(東進ブックス)では、研究し尽くされたデータ分析が絶大な人気を獲得し、高校教材としても採用される。

大学入学共通テストは、センター試験とここが違う

2021年の1月から大学入学共通テスト(共通テスト)に切り替わります。センター試験と共通テストの数学の出題形式は大きく違うのです。例えば、2人の生徒が宿題の数学の問題について解き方を話しているという設定です。試行錯誤をしながら、問われている題材を掘り下げて考える様子が何パターンも描かれています。単に答えの値を求めるだけでなく、さまざまな考え方を俯瞰し、課題解決の過程に着目する。これが共通テストなのです

2017年11月の試行調査では正答率は軒並み低くなっていました。2018年11月の二回目の試行調査の結果を基に分量や難易度の最終調整がされる予定です。今までは試験の制度が大幅に変わる際、前の制度で学習していた浪人生向けに別の問題を作成するなどの移行措置がとられてきましたが、大学入試センターはこうした移行措置を今回はとらないと発表しました。浪人生も現役生も同じ問題が出題されるのです。高2生は現役で合格できなければ対策時間が不足し圧倒的に不利だ、ということを今のうちに認識してください。

センター試験は約55万人が受験する試験です。私立大学を受験する生徒でもほぼセンター試験を受けますが、それは「センター試験利用入試」を採用する私大が多数あるためです。受験生にとっては、このシステムを活用することで私大がセンター試験の得点で合否判断されるため、国公立の前期日程の直前対策にしっかり集中できる利点があります。後期日程もありますが、定員のほぼ9割は前期で決まるのです。

日本には800近い大学があり、うち8割は私立大。収容率は92〜93%といわれています。人数だけで見れば入学しやすくなったように思えますが、難関大の倍率は第2次ベビーブーム時代だったころとほぼ変わっておらず、むしろ人気が上がっています。一方、私立下位の45%は定員割れしていて、二極化が進んでいます。また最近は推薦入試・AO入試で大学に入学する割合が増えています。多くが高校の成績や面接・小論文などで選抜を行いますが、この推薦入試やAO入試で国公私立大入学者全体の約44%も占めているのです。さらに、浪人生は約10万人もいて、少子化でも浪人生は増えています。

「大学全入時代」などとは、生徒数と募集人数を単にグロスで考えたまったく誤った判断だとおわかりでしょう。

何のために大学に行くのか、まず親子で話し合いを

環境が厳しくなる中で、「何のために大学に行くのか」を今から親子できちんと話し合っておかれるべきだと思います

ここで、私の息子の大学受験の話をしましょう。私はそのころ朝6時に出勤して夜11時過ぎに帰宅、家で長男の勉強を見てやることはおろか、進路について話す時間も気力もありませんでした。息子は現役生のとき、十分な力量もないのにセンター試験より二次試験の配点比率が高い難関大の理学部物理学科を受け不合格。そこで初めて私は息子と話をしました。なぜ理学部の物理学科を受験したのか理由を聞くと、「勉強しなくてもいい点が取れていたから」。

すべての受験生が目標を持っている訳ではないのです。面と向かって話し合った後に、彼はこれまで秘めていた医学部に進みたいという志を言い出しました。具体的な目標を持てたことで生活は一変しました。毎朝早起きして、予備校の開門前にその門の前で英単語を必死で覚えているのです。テレビも観ない。ベッドに入ることも忘れ、椅子に座ったまま寝ている姿もありました。1年間の猛勉強の末に臨んだ入試で医学部に合格し、現在は医師になっています。

受験のサポートは親としてできる最後の仕事

振り返って、当時の私は「将来」や「目標」という言葉に不信感がありました。難関大に現役合格する生徒の何倍もの人数の生徒が不合格になっている現実を見ていたからです。

でも、目標なしではモチベーションは上がりません。逆に、目標が決まれば子どもは主体性を持ってどんどん前に進んでいける。高校生になると、親が干渉しすぎるべきではないという風潮があります。でも、遠慮しすぎず、思ったことは口に出してもいいのではないでしょうか。この手で育て、性格もわかっている子どもです。子どもの適性は学校や予備校の先生より、お父さんやお母さんの方がわかっている

親子で思いが一致すれば子どものやる気は必ず引き出せるはずです。一緒に考えよう、いつでも話は聞くよ、とまず言ってみてください。話題を共有するため、大学のオープンキャンパスや東進の大学学部研究会などのイベントも活用し参加していただきたいと思います。大学を卒業すれば、あとは就職や結婚、これは本人が決めることです。受験のサポートは、親としてできる最後の仕事ではないでしょうか

 

 

 

共通テスト わかったこと・そなえたいこと

 

国公私立の大学・短大・専門職大学で広く利用される「大学入学共通テスト」。そこで見えてきた現状や今後の動向を、東進独自の分析で解説します。

 

大学入学共通テストでわかったこと

志願者数は、前年比96.6%の512,581人。前身の大学入試センター試験も含めると5年連続の減少傾向です。主な要因は、18歳人口の減少、学校推薦型選抜や総合型選抜を受験する生徒の増加、さらに既卒生の減少(5,143人減の71,642人、前年比93.3%)が挙げられます。 その一方で、現役志願率は45.1%。これは2022年度と並び、過去最高となりました。また、参加大学・短大数も過去最多だった前年度より7大学増加し、870大学でした。

内容に目を向けると、教科・科目により差はあるものの、全体的には、大学入試センターから公表された「問題作成の基本的な考え方」に基づいた、「思考力・判断力・表現力」を問う出題が定着してきたといえるでしょう。出題傾向に大きな変化はないものの、時事問題や高校生による「探究」を想定した設定が出題に取り入れられています。これらの出題が求めるのは、身についた知識を活用し、提供された多くの「資料・表・グラフ・地図・写真・文章」を読み解き、必要な情報を抽出して最終的に適切な解答を導き出す力。全教科にわたって、限られた時間の中でスピーディーに問題を読み解き、解く力が問われています。

 

大学入学共通テストでそなえたいこと

保護者も知っておきたい問題の傾向や勉強法の対策など、東進の分析とアドバイスをダイジェストでお届けします。

英語
英語力に加えて求められる思考力や分析力。一夜漬けでなんとかなるような、発音、文法、語彙の知識を単体で問う問題はないと心得ましょう。そのかわりに、限られた時間内で多様な形式の問題の長文を読んだり、音声を聞いて理解したりしなければなりません。問題の分量が多いため、速読力・リスニング力・検索力・情報処理能力が問われます。

 

数学
長文問題から正確かつ迅速に数学的ポイントを見出し、効率よく式を組み立て、ミスなく計算する力が求められています。日常生活に絡んだ問題を数式に直して解く形式の出題は複数出ており、ものごとを抽象化して本質をとらえる数学的なものの見方や「わかる」力を鍛えることは対策の基盤に。問題数をこなすだけでなく、系統立てた勉強を積み重ねる意識がカギ。

 

2025年から新設!
情報
新学習指導要領の実施に伴い2025年に刷新される共通テストでは、新たに「情報Ⅰ」が新科目に導入されます。発表された「情報Ⅰ」の試作問題(2022年11月公開)からわかったポイントは、以下のとおりです。

①新指導要領で必須となるプログラミングが配点の半分を占める
②高校で学ぶ言語によって差がつかないように、共通テストでは大学入試センターが独自に定めたプログラム表記を使用する
③プログラミング的思考だけでなく実践が問われる

国公立大・私立大問わず、これからの社会で必要となる情報やデータサイエンスを学ぶ学部学科は増えています。一橋大ソーシャル・データサイエンス学部では、新設年度の志願倍率が前期6.1倍、後期25.8倍と高倍率でした。情報系以外の学部においても、慶應義塾大や上智大の入試問題では人工知能やプログラミングなど情報がテーマとしてとり上げられました。

東進では、いち早く情報Ⅰに特化した模試を実施しています。現代の高度な情報化社会を生きるうえで、情報の知識や技術は必須であり、生きる力の一つ。データサイエンス・情報分野にどのような関心があるか、どのように取り組みたいかを、日頃からお子様と一緒に考えておきませんか。

 

東進の共通テスト対策

大量の英文を読む英語の速読力や、問題の難化・長文化に対応する数学の情報処理能力は、日々のトレーニングによって高められるもの。東進では、共通テストに向けた万全な対策を備えています。実力講師陣による対策講座、大好評のリスニングトレーニングアプリ、そして十分な演習量を確保できる過去問演習講座などを通じて、わかる力を鍛えながら問題を解くことで、総合力の積み重ねを。大学入学受験は家族のチーム戦ともいえます。親は受験生の環境やスケジュールを支える側に回って、見守り、応援しましょう。

東進の学習サポートスケジュール例

東進では、遅くとも高3の6月末までに入試に必要な全範囲学習を修了します。東進の実力講師陣が共通テスト本番を徹底分析し、要点をおさえた攻略法を伝授する共通テスト対策講座で、この時期までに共通テストに必要な知識や解法を身につけます。

次に、遅くとも高3の7月からは過去問演習講座に取り組み大学入学共通テスト対策を開始します。受験生の夏に共通テストに対応した問題演習を行うことで、夏までにインプットしてきた知識をアウトプットし、得点力を伸ばします。


東進の学習サポート
①共通テストをはじめとした入試の現状やトピックを、生徒向け説明会・ホームルームやご父母向け説明会・講演会等で随時説明しています。校舎で実施する合格指導面談や三者面談など、最新入試情報をふまえた学習法やスケジュールを保護者といっしょにじっくりお話しする場も設けていますので、わからないことや不安なことはいつでもご相談ください。

②共通テスト本番同様のレベル・傾向・条件に対応した共通テスト本番レベル模試を2カ月に1回実施。お子様の学習成果を定期的に測定しています。受験後は、詳細かつ厳正な成績帳票をもとにきめ細かな学習経過の見直しをサポートしています。

③共通テストの出題形式・ジャンル別の問題にチャレンジできる東進共通テスト対策講座Listening。速度切り替えや英語のみのスクリプト表示切り替えなどを活用して、弱点トレーニングから本番を想定したチャレンジまで使い方はいろいろ。スマートフォンアプリなので、いつでもどこでも必要な時や空き時間にさっと使える実力強化ツールを携帯できます。

 

英語学習ここがポイント

英語で発信できる人を目指して
英語4技能でその扉を開く

「英語4技能」が評価され活用される時代が加速しています。仕事や研究の舞台がグローバルになるなか、日本人にとって英語教育は喫緊の課題。相手の考えや気持ちを読んだり聞いたりして理解し、自分の意見を話したり書いたりして伝えることのできる英語4技能は、試験対策にとどまらず、磨くべきスキルといえます。2022年度からは、高校でも新しい学習指導要領にもとづく授業がスタート。目指すのは、進化する社会に対応できる技能です。英語を楽しむことで未来を開き、グローバル社会におけるコミュニケーションを広げていくプロセスでもあるのですから、苦手意識を抱え込むのはもったいない。新しい興味を感じる機会に変えていきませんか。

 

伝わる喜びを体験する機会を増やし英語を楽しむ側へ

「英語ができる」とは、文法を知っていることや学習時間の長さのことではなく、英語を操り楽しめること。英語が苦手というお子様は、英語を使ったコミュニケーションの楽しみ方をつかめていないだけなのかもしれません。

これまでの学校教育では、英語を読むことに重点がおかれていたのですから無理もありません。文部科学省の調査によると、「話す(speaking)」を授業に取り入れている学校では、「読む(reading)」「聞く(listening)」の点数が高いということがわかっています。話せた、伝わった、という成功体験を味わえば、また話したくなり、使いたくなるもの。学校の授業や講座はもちろん、スマホなども活用して、早くから英語を楽しむ日常的な習慣や環境を持っておくのもよいでしょう。

 

日常に英語4技能を取り入れるなら

Speaking 話す

授業や講座を使って臆さず英語で話す機会をたくさん作ること。ボキャブラリーを増やすこと。

Writing 書く

AI添削などを用いてどんどん書く。SNSを使って英語で情報発信するのも力がつきます。

Listening 聞く

とにかくたくさんの英語に触れる。ウェブ等を活用しましょう。リスニング問題の演習も良いです。

Reading 読む

英文を理解したら、ネイティブスピーカーの音声を真似て音読する。簡単な英語を多読することも有効です。

お子様が英語を読んだり聞いたりしたら、それについて自分はどう思うか、英語で話す機会を。黙読のみで頭で記憶したり理解するだけではなく、音読や会話によって体を通して表現することは英語を楽しむ近道です。世界に目を向けると、ノンネイティブが話す英語は広く通用しています。友達や家族で音読し合うことで、その感覚に親しむと良いでしょう。成功体験の積み重ねは自信を引き出し、技術を高めます。音読の繰り返しに慣れることは単語の暗記効率を高めることにもつながります。

 

今どき英語学習の3大ポイント

1 本物の基礎力と応用力を

思考の前提となる基礎や基本をおろそかにしないこと。受験勉強には応用問題をたくさん解かなければならないのではと考えられがちですが、基礎=簡単、応用=難解とは限りません。応用問題は複雑に絡み合った基礎知識を統合して解答するもの。難題を解きほぐすには基本の理解が不可欠です。それには模擬試験等も受けっ放しにせず、しっかりアドバイスを受けて基本の完全理解に役立て、復習効果を高めましょう。解けた解けないに一喜一憂しないこと。

2 アウトプットを意識する

試験のために単語を暗記するのではなく、実際に英語を使うためのパーツを備える意識を持ってボキャブラリーを増やす。自らがこうなりたいと思う意識次第でお子様の英語学習は変わります。センター試験が、単語→文法→読解のステップアップ式で各段階の能力を試したとすると、共通テストはそのすべてが前提。インプットしていることをどのようにアウトプットするか、個々の思考力、判断力、表現力が試されます。インプットのためのインプットから脱却して、英語を使って何をしたいか、アウトプットを意識した学習を。

3 繰り返し学習を活かす

スピーキングやリスニングの学習を増やすことで「形」に慣れることはとても大切。例文の暗記や暗唱ができるくらいのレベルになると、言葉の反射神経が向上します。さらに、大局を掴むことで詳細に理解し、対応力を高めることもできます。これらはすべてコミュニケーションのベースとなる力。あらゆるスキルの上級者がそうであるように、形の応用で上達すると考えて、同じパターンを繰り返すよりも、飽きのこないパターンを使い分けて手数を増やす工夫を。繰り返し学習の習慣をつけましょう。

 

 

 

注目の大学・学部最前線

新しい社会を生きるために、どの大学・学部・学科で何を学ぶか?

大学の多様化が進んでいます。18歳人口の減少や、人工知能(A I)・情報通信技術(I CT)の高度化、さらに新型コロナウイルスの影響を受け、子どもたちを取り巻く環境は激変しました。大学でも、大学間や学部間はもちろん、産業界や海外・地域コミュニティへと領域を広げた斬新な連携、分離横断化、国際化、専門特化などによる、新しい社会への対応が求められているのです。

入試の形式をはじめ、教育の内容、大学の序列に及ぶ変化は、親の世代の大学・学部・学科のイメージに当てはめて捉えられるものではありません。新しい社会や先端技術をお子様の人生に生かすために、どの大学のどの学部で何を学ぶか、お子様と共に選択していくための準備は万全でしょうか。

親も大学のポリシーや環境、お子様の将来につながる新しい学びや研究を知っておくことで、大学選びにとどまらない人生のビジョンを共に考える良きアドバイザーでありたいものです。入学後に後悔しないよう、古い価値観にとらわれず不安に振り回されず、良質な情報を集めて、時にクールに時にワクワクと事実と向き合うことを心がけましょう。お子様の未来展望のヒントに、新しい学びをダイジェストで紹介します。

 

広い視野から答えのない課題を解き明かす情報〈文理融合〉系学部学科

IoT(Internet of Things)で人とモノがつながり、さまざまな知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出し、課題や困難を克服していく未来社会。そこで活躍する人材養成を目指しているのが、情報(文理融合)系の学部です。文系・理系の枠を越えた幅広い知識と教養を身につけ、グローバルなICTの理解、情報に関する法律知識や法的思考、AIなど、法律が未整備な分野への国際的視点に立った知見を身につけます。

京都大学工学部情報学科レポート
「ロボットが人間の仕事を奪うのではない。先端技術をどう使うのかは、常に人間が考える。工学×デザインをテーマに最先端の技術を使って現実社会が期待している仕事を混乱なく実現することを考え実行する」(2020大学学部研究会より)

・東京工業大情報理工学部
・早稲田大学人間情報科学部人間情報科学科
・関西大学システム理工学部数学科

 

グローバルを舞台に専門性を発揮する国際系学部・学科

世界を取り巻く課題を発見し、分析し、解決する人材を育成する国際系学部。地球規模で進む情報通信や交通技術などの発達により、人やモノ、金や情報が国や地域を越えて行き交うなか、異なる価値を乗り越えるコミュニケーション能力と協調性を発揮し、新しい価値を創造する能力や、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識を持った人財を育てます。言語、文化、経済、政治など、活躍の舞台も多岐に渡ります。

青山学院大学国際政治経済学部国際政治学科レポート
「世界情勢の背景に何があるのか、答えが一つではないところから考える。
重要なのは、”Why”と”How”。なぜそうなっているのか?どうすればいいのか?
頭だけで考えるのではなく、データを集め、インタビューし、論証し、研究する」
(2020大学学部研究会より)

・国際教養大学国際教養学部
・関西学院大学国際学部国際学研究科
・中央大学法学部国際企業関係法学科

 

先端技術を駆使して新しい価値を生み出すデータサイエンス系学部・学科

数理的思考力とデータ分析・活用能力を持つ人財を育成し、社会に価値やサービスを生み出すことを目指す データサイエンス系学部。文系・理系を問わない全学的な数理・データイエンスを用いて、社会の発展を支えるための価値ある情報を取り出して意思決定に活かす能力を磨きます。専門知識やスキルなどの理系的基礎のうえで、専門性を有する仲間とコミュニケーションを図りながら進められる文理融合型の学びです。

東京大学工学部システム創成学科レポート
「膨大なデータに人間の経験とコミュニケーションを加えることでチャンスを見つける。あらゆる要素を統括する人間が個人や組織のために効率的かつ効果的な意思決定を下すことをサポートし、将来の有用な行動につなぐ」(2016大学学部研究会より)

・滋賀大学データサイエンス学部データサイエンス研究科
・明治大学総合数理学部現象数理学科
・同志社大学文化情報学部データ科学基盤コース

 

お子様の「なりたい自分」に近いのは?
大学・学部・学科選びのポイント

1 お子様の将来を共に考える
将来の目標から逆算して志望校を考えてみましょう。興味があること、就きたい職業など、時間に比較的余裕のある高1から高2の間に考え始めることをお勧めします。

2 進みたい学部・学科を見つける
名称だけでは特徴や専門が分かりにくい学部・学科も増えています。思い込みやイメージで判断せず、お子様に必要な学びが身につく学部・学科をしっかり調べましょう

3 個別の大学を調べる
大学は理念に合った学生を求めています。ディプロマポリシー、
カリキュラムポリシー、アドミッションポリシーを理解して、古い受験感覚を持ち込まないようご注意を

お子様と一緒にチェックしましょう!

・カリキュラムはどうなってる?
・先生の数や研究実績は?
・就職率はどれくらい?
・学費や奨学金制度は?
・学生数は多い少ない?
・施設や設備は充実してる?
・留学プログラムはある?など

 

親もぜひ!早めの情報収集を始めましょう

最先端研究チームの一員になりたい!語学を究めて海外で活躍したい!
地元に新しいビジネスを生み出したい!食やスポーツを通して健康を支えたい!
お年寄りや子どもの役に立ちたい!AIやICTを駆使して世の中を変えたい!…
大学で学ぶことがどんな生き方につながるか、お子様の夢から逆算して受験を計画してみましょう。志望校は国公立か私立か、どんな選抜方法を利用するか、部活や学校行事と両立したいのかなど、具体的に傾向と対策をイメージするとモチベーションも上がるもの。入りたいと強く願う大学を目標にできれば、そのために努力する経験は、人生の大きな力となるはずです。

 

 

 

データで見る大学受験

わが子が特性、個性、能力を発揮し将来へとつながる大学入試を考える

少子化の影響で、高等学校等の卒業者数は減少傾向にあります。2000年には132万8,940人だった高等学校等卒業者は、2022年には99万5,109人に減少し、2000年比で74.9%まで減少しました。一方で、大学・短大等の現役進学率は上昇傾向が続き、2000年の45.1%から2022年は59.5%へと飛躍。過去最高を更新しています。

18歳人口は減少したものの、国公立大学や大都市圏の大規模私立大学の人気は依然として高く、多くの志願者を集めています。しかし地方に目を向けると、中小規模の大学で「定員割れ」の状態にある大学も少なくありません。現在の大学受験では、大都市圏の大規模大学に志願者が集中して入学者が定員を超過し、地方の中小規模の大学に志願者が集まらず定員割れとなる、二極化が進行していることがわかります。

このような状況下で、大学も学部や学科を改変したり、入試形式を増やしたりするなど、大胆な改革を進めています。大学受験の目的は、入学することだけではありません。グローバル化・AI化・少子高齢化で大変化する社会を生きるお子様が、人生に夢や志を持って学ぶスタート地点に立つことでもあります。子どものためによかれと、親が先導したり古い価値観で決めつけたりすることのないよう、大学の変化、入試の変化をしっかりと把握して、大学受験をお子様と共に考え、応援しましょう。

 

親が知るべき大学入試の今
①デジタル・グリーン人材育成強化

東京23区では現在、大学の定員増を原則10年間禁じる地域大学振興法が成立しており、2028年3月末までの10年間は定員の増加が禁じられています。これにより、新しい学部・学科の設立は困難となっていました。しかし、2023年2月に、デジタル系の学部・学科に限り2024年度から定員増が認められることになりました。

デジタル分野の人材不足が指摘されている日本。2030年には先端IT人材が55万人ほど足りなくなるとの予測もあり(経済産業省委託事業「IT人材需給に関する調査(みずほ情報総研株式会社)」2019年3月)、文部科学省では、3000億円の基金を活用して、大学による「デジタル」「グリーン」等の特定成長分野の学部設置等を継続的に支援する事業案を公表しています。理・工・農の3分野を対象に、最長10年間、20億円程度までの支援が予定されたことで、特定成長分野に関連し、デジタル・グリーン分野の人材育成を担う学部・学科の増加が予想されています。

 

親が知るべき大学入試の今
②地域格差対策と大学・学部・学科の改編

本私立学校振興・共済事業団の調査では、定員割れとなった私立大学の割合は、2008年の47.1%がピークでした。2017年以降は徐々に減少し、2020年には31.0%に。しかし2021年度から新型コロナウイルスの影響もあって再び上昇し、2022年は47.5%と過去最高になりました。一方、入学定員充足率の地域別の推移は、2016年度から2020年度にかけて、大都市圏への集中がある程度緩和されています。2021年度は新型コロナウイルスの影響により、地域を問わず全体的に下降しましたが、2022年度は上昇に転じた地域もありました。

これまで、私立大学は入学辞退者が出ることを見越して合格者を多めに出していましたが、2018年度以降は入学者数が入学定員の1.10倍を超過しないよう合格者数を減少させています(収容定員8,000人以上の大学の場合)。その結果、現在は私立大学の47.5%は定員割れを抱えた状態に。この状態が続くと、授業料収入が減少し、大学の経営が立ち行かなくなる事態に発展しないとも限りません。2022年12月の学校基本調査では、大学の数は807校で過去最高となっています。今後、18歳人口の減少の継続とともに大学の淘汰は避けられない状況です。

大学の取り組みも進んでいます。24年度には東工大と東京医科歯科大の統合による東京科学大学の開設をはじめ、多くの大学で理工系学部や情報系学部の新設が予定されています。なかでも、世界的に遅れをとっている女子の理系人材育成を目的とした女子枠の創設や、理系だけでなく文系の分野からアプローチする文理融合型の学びにも注目です。

 

どう見る?「学校推薦型選抜」と「総合型選抜」

 

「大学入学共通テスト」がスタートし、一般入試は「一般選抜」に、推薦入試は「学校推薦型選抜」に、AO入試は「総合型選抜」に変更されました。様々な方法で受験生の総合的な学力評価を行う大学受験のあり方は、受験生と大学の双方に効果が期待されています。

学力試験を課さないケースも多かった推薦入試・AO入試に代わる学校推薦型選抜・総合型選抜では、各大学が実施する評価方法(小論文、プレゼンテーション、資格・検定試験の成績等)か、大学入学共通テストの少なくともいずれか一つによる評価が必須となります。個人の特別な能力や実績だけではなく、大学が求める学力も合わせた多面的な選抜方法によって、何をどのように学んできたか、大学生活でどのように生かしていくかを評価する未来志向にシフトしているのです。

大学にとっては、アドミッション・ポリシーに合ったモチベーションの高い学生を入学させて、教育や研究に好影響をもたらすメリットが、受験生にとっては、長所や能力に合った試験方式を選んだり同じ大学を複数回受験したりするなどの選択肢やチャンスが増えるメリットが。親は過去の推薦入試やAO入試のイメージや経験にとらわれず、大学が工夫を凝らした入試方式の特色や狙いをしっかりと理解することが大切です。

 

大学入試のスケジュール(2024年入試予定)

※私立大学は大学ごとにスケジュールが異なるため、各校の最新情報を確認してください

各大学は、学力面の選抜に加えて、求める学生像にリーチする独自の選抜方法に工夫を凝らしています。東進では、進学情報をはじめ教育講演会や説明会で、常に最新の情報をお知らせしています。学校推薦型選抜・総合型選抜に挑戦するお子様に向けた対策講座も人気です。コンクールや大会の受賞歴といった特別な実績は問わず、「出願」や「二次選考」それぞれに必要なポイントをフォローし、一人ひとりの実践力を引き出します。

 

学校推薦型選抜の推薦入試からの変更点

①各大学が実施する評価方法等(例:小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績等)、大学入学共通テストの少なくともいずれか1つによる評価を必須化。

②本人の学習歴や活動歴を踏まえた「学力の3要素」に関する評価を記載すること、大学が選抜でこれらを活用することの両方を必須化。

 

 

総合型選抜のAO入試からの変更点

①調査書等の出願書類だけでなく、各大学が実施する評価方法等(例:小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績等)、大学入学共通テストの少なくともいずれか1つの活用が必須化。

②志願者本人の記載する資料(例:活動報告書、入学希望理由書、学修計画書等)の積極的な活用。




大学選びの新常識

オープンキャンパスは対面とオンラインのハイブリッドへ

オープンキャンパスは、大学に足を運んで実際の雰囲気やイベントを体験できる対面型と、移動に縛られずどこからでもピンポイントで参加できるオンライン型が、ここ数年で広く浸透しました。現在は、両方のメリットを活かしたハイブリッド型も定着し、限られたスケジュールでは周りきれない複数大学・学部の情報を、時間や場所を問わずに効率よく比較検討できるようになりつつあります。
新しい学部やユニークな学部のガイダンスや模擬講義をはじめ、留学や就職情報、 施設や寮案内など、大学から発信されるイベントやコンテンツを、保護者も積極的に活用しましょう。大学の環境や学生の雰囲気はもちろん、歴史や校風、最先端の取り組みまで、親目線の条件チェックにとどまらず、お子様目線で実感するチャンスです。
「この大学・学部でこれを学びたい!」という受験生に、古い価値観でダメ出しや難癖をつけるのは避けたいもの。オープンキャンパスをきっかけに、お子様にとってプラスになる助言や、大学生活の自信につながる情報共有や意見交換を始めませんか。

 

オープンキャンパス 基礎知識

①開催要項を確認する
対面型オープンキャンパスが開催されるのは夏休みにあたる7~8月が中心。最近では通年で開催する大学もあるので、ホームページやSNSでこまめに情報を確認しましょう。オンライン型の場合は、長期間開催されるものと開催日程が限定されているもの、参加予約が必要なものと自由参加できるものなどがあります。希望する大学・学部の日程を事前に確認して、効率的な調整を。

②事前予約を忘れない
大学や企画やイベントによっては、事前申し込みが必要です。人気のイベントは先着順で受付を締め切ることもあるため、手続きは早めに。日程やアクセス方法が変更になる場合もあるので、各大学のホームページやSNSは定期的に確認しましょう。

③当日のトラブルを防ぐ
申し込み手続き後、大学からメール等で参加方法が届きます。アプリのダウンロードやインストール、スマホの充電など、直前のトラブルに慌てないためにも、必要な準備は余裕を持って進めておきましょう。

 

オープンキャンパス 活用編

お子様の進学先を明確にイメージするための重要な機会であり、大学のアピールを知る貴重な機会でもあるオープンキャンパス。柔軟な視点で大学の魅力発見にアンテナを張ってみましょう。受験生にとっても、親の意見や感想は気になるもの。お子様の主体性をさえぎらずに、親はほどよいサポートに回る心配りを。お子様のモチベーションが高まっていく瞬間を見守りましょう。

①主なイベント
・大学全体または学部学科説明会
学部学科の強みや取り組みが紹介されます。将来希望する進路と合致しているか、指導内容や就職先もチェックしてみましょう。
・キャンパスツアー
構内の施設や設備を見学したり、食堂や図書館などを回ったりすることで、実際の学生生活をイメージすることができます。
・模擬講義や研究室公開、ワークショップ
実際の講義・実験・実習などをダイジェストで体験できます。本当に学びたいかどうかを見極めるのにまたとない機会です。
・教員や先輩との個別相談
学部学科全般にまつわる疑問や質問、個別の相談に教員や先輩が答えてくれます。現場の生の声を、解決や判断の一助に。

②オンライン型の活用で保護者も便利に
オープンキャンパスの実施概要は柔軟に変化しています。見やすい模擬授業や混まない個別相談、地域や気候に左右されないイベントやキャンパスツアーはオンラインやハイブリッド型ならでは。随時開催でいつでも何度でも参加できるプログラムを用意する大学も増え、忙しい保護者が参加を諦めなくてもすむようになってきました。気になる大学のプログラムには、気軽に参加してみましょう。

 

ある日のオンラインオープンキャンパス

お母さんの参加シミュレーション

① 参加を申し込む

個別参加のイベントには手続きや準備が必要な場合があるので、慌てずに事前に確認しておく。

② 大学・学部学科説明会に出席する

大学・学部学科の強みやアピールを聴いて、希望する将来の進路と合致しているか見極める。

③ キャンパスライフを体験する

キャンパスツアーで主要施設や学生の雰囲気等を自由に見学。わが子の大学生活をシミュレーション。

④ 模擬授業に参加する

予約していた模擬授業やオープンラボに出席。体験内容はもちろん、学内環境からも大いに触発される。

⑤ 受験情報を確認する

入試説明会でわが子に合った受験方法をチェック。大学HPやパンフも同時活用して詳細確認。

⑥ 疑問・不明点を質問・相談する

zoom等による個別質問・相談なので訪ねたい疑問点をダイレクトに解決。待ち時間は下調べで有効活用。

⑦ 複数の大学を家族で検討する

気になる大学を比較・検討。実際に足を運びたい大学を家族で相談する。夢や目標、将来について語り合うコミュニケーションを円滑に。

 

オンラインオープンキャンパスでできること
(高校生のみの項目もあり)

●端末があれば好きな場所で参加できる
●自宅から遠い大学でも容易に参加できる
●1日で多くの大学・学部を比較検討できる
●1年生でも2年生でも親子でも参加できる
●受けたい学科の模擬授業を受講できる
●先生や先輩に個別質問・相談ができる
●キャンパス内施設の個別見学ができる
●最新の入試情報を画面で確認できる

 

 

 

未来「職業」研究

「働き方改革」「新しい生活様式」の時代
未来の仕事や職業をどうとらえるか

リモート会議や在宅勤務の導入、コンピュータやAIの発展に伴うICT(情報通信技術)活用など、仕事や職業を取り巻く環境は一変しました。これから「働き方改革」や「新しい生活様式」の浸透した社会を生きていくお子様の未来の仕事や職業を、どのようにとらえたらよいでしょうか。

大学で学ぶ時間の先には、社会人として仕事をする時間が長く濃密に続きます。2013年に英オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン博士が発表した「雇用の未来」における10年後に消える仕事のリストも記憶に新しいなか、親の立場からも思いをはせずにはいられない問題でしょう。

お子様にとっても、自分はどんなふうに働きたいかを今考えることは、将来の大学の学びにつながる大切なステップです。それは不安ではなく、ワクワクであってほしいもの。不確実な社会において、遠い未来を予測することは難しくても、現在が未来へつながっていることは確かです。職業や仕事についての価値観や将来の働き方のグランドデザインを、親子で見直してみるのに、今ほど絶好のチャンスはありません。

 

求められている 「コミュニケーション能力」とは

2020年の就活では、コロナ禍の影響を受けた合同企業説明会などのイベント自粛や、オンライン面接への切り替え、経済悪化による新卒採用の取りやめ等が起きました。しかし、業界・企業・学生がそれぞれの立場で苦戦を強いられながらも、2021年3月卒業予定の大学生の就職内定率(内々定含む)は12月1日時点で93.4%。例年並みの水準に届こうとしています(リクルートキャリア調べ)。本来、景気動向に左右されやすい就活ですが、人間の適応力は捨てたものではありません。日本経済団体連合会(経団連)は、毎年「新卒採用に関するアンケート調査」を実施し、採用で重視した点を集計しています。それによると、最も求められたのは15年連続で「コミュニケーション能力」。以下、「主体性」「チャレンジ精神」「協調性」が続きます。企業が求めるのは「企業・社会の一員としてのコミュニケーション能力を持ち、やるべきことを主体的に考え行動することができるチャレンジ精神に富んだ人材」ということができるでしょう。

一方、「人生100年時代」を迎え、高度成長期時代の年功序列モデルを土台とした日本の企業風土は大きく変わってきています。リモートワークの導入や副業の容認などが進み、起業や個人活動、プロジェクトやコミュニティでニッチトップが目指せる時代でもあります。今求められるコミュニケーション能力とは、もはや限られた領域の対人的なものではありません。言葉も価値観も文化も違う人や、ロボットやコンピュータと協働する社会に不可欠な能力として、複雑な状況における答えのない課題や未知の課題に向き合い、試行錯誤しながら意欲的に取り組む原動力となるはずです。ネットやグローバル社会においては、相手は企業や国を越えた「世界」。成績の良し悪しさえ絶対的な強みとは言い切れない世界で、余人をもって代えがたい存在感を放つコミュニケーション能力が、あらゆる仕事の可能性を広げるものとなるでしょう。その可能性の種は、お子様が好きなことをとことん追究する姿や、自ら課題を見つけて学ぶ姿に隠れているものかもしれません。保護者も視野を広げて、共にワクワクしながらその芽を育んでいきましょう。

お子様の夢を共に描くことから始めよう

 

親子で語りたい働くこと、生きること

ユネスコが1996年にまとめた教育の4つの理念は、「知ることを学ぶ」「なすことを学ぶ」「共に生きることを学ぶ」「人間として生きることを学ぶ」というもの。2010年、新たに「自らと社会を変えることを学ぶ」が追加されました。既存ルールに合わせて知識を詰め込むばかりでなく、自らが求める未来社会はどのように変わるべきかを考え、実践しようというものです。世界は、自分の生き方を支える常識や価値観について、リスクや不確実性も踏まえて、公正かつ冷静・批判的に考えられる力を求めています

自宅で過ごす時間が増えた今こそ、親子で働くことや生きることについて、少しずつでも本音で語ってみたいもの。価値観が多様化し、残念ながら親のアドバイスでさえもお子様に対して的を得ているかどうかはわかりません。しかし嘆くこともありません。世代や背景が違うのですから意見は違って当然。実践したいのは親の正解を押し付けることではなく、お子様の常識や価値観とのすり合わせから未来を切り開くことです

「ぼく(私)にはこんな夢があるんだ」という話になったら、先回りや否定をせずに、お子様の言葉に耳を傾け、お子様の好きなことや新しい側面を発見していきましょう。お子様に自信と勇気を与え、親子で夢を引き寄せる心構えです。

✖️「そんな夢、通用しないでしょ」→否定しない
✖️「いや、お父さんの考えはこうだ」→遮らない
✖️「仕事とはな…人生とはな…」→押し付けない
✖️「どうして?なんで?いつ?」→問い詰めない
✖️「お母さんの時はこうだったのよ」→比べない
✖️「…………………」→固まらない、無視しない

○「そうか、ぜひかなえていこうよ」→共感する
○「夢があるんだね、夢は大切だね」→受容する
○「その話、ぜひ聞きたかったよ」→関心を持つ
○「なるほど、すばらしいね」→あいづちを打つ
○「話してくれるのか、うれしいな」→信頼する
○「すごいなあ、すてきなことだよね」→ほめる

 

「好きなこと」から始める職業研究

知らなかった職業や考えたこともなかった職業を見つけるのはもちろん、これから好きになりそうな職業や、純粋に「面白い!」「挑戦したい!」と思える職業に出会ってください。その際、お子様が自分の好きなこと(や嫌いなこと)を具体的にリストアップし、その理由を分析しながら、挑戦したい分野を探すのも良いでしょう。お子様が自ら情報を取りに行き、取捨選択や比較検討することで、進みたい仕事やなりたい職業に対する価値基準が立ち上がってくるものだからです。目標にしたい職業が見つかったら、そのために必要な専門知識や力を身につけられる大学・学部・学科を探すこともできます。

 

 

 

東進生のリアル

部活や学校行事をあきらめず難関大現役合格を取りに行く東進生の志・習慣とは?

2023年に東進ハイスクール・東進衛星予備校から誕生した東大現役合格者は845名(3月31日締切最終確定数)。5年連続で800名を越える快挙となりました。

高校生活でとことん学ぶと共に、部活に打ち込むことや友情を育むこともあきらめない東進生を言葉で表すなら、「志」です。一人ひとりが「あの大学のこの学部に行ってこんな研究がしたい、こんな仕事に就きたい」といった、将来の夢やなりたい職業や達成したい目標を掲げて、多くの難関大学への進学を決めています。

それは、テストの点数や偏差値を上げるためだけでもなければ大学に入るためだけでもなく、「求めて学ぶ力」は「生きる力」であることを仲間と磨き合い成長しているから。東進による「独立自尊の社会・世界に貢献する人財」の指導方針のもとで受験という壁を突破していく彼らは、どんな志や習慣を身につけるのでしょうか。東進が毎年実施している全国の難関大現役合格者アンケートの最新データも参照しながら、「東進生のリアル」をご紹介します。

 

「今解くべき問題」の挑戦から弱点克服まで、AIを活用した学習で勉強効率を最大化!

東進生には、多くの部活生がいます。全国の難関大現役合格者を見ても同様の傾向があり、部活生は82.0%。その72.9%は高3まで部活を両立しています。好きなことに打ち込む高校生活から得るものは計り知れません。自分で課題を見つけて解決する力や仲間との共感力を育み、「何のために」「どう生きたいか」という進路選択につながれば、部活や学校行事は学ぶ気持ちに火を付ける追い風といえます。

高校生活で挑戦したいことを何一つあきらめたくない東進生が活用しているのは、AIが分析する個別対応プログラムと徹底した志望校対策です。部活スケジュールとの両立を図りながら、志望校や学習状況に合わせた「今解くべき問題」の演習や弱点克服を計画的に実行。授業日程に縛られたり一律で人と同じ授業を受けたりすることもなく、学習効果の最大化を追求しています。


たとえばこんな演習で文武両道!

志望校別単元ジャンル演習講座
AIがお子様の過去問演習講座等の学習状況と志望校の入試傾向を診断。30万問を超える演習データベースから厳選してお子様に個別最適化した学習課題と演習問題を提案します。狙いを定めた学部・学科合格に必要な強化ポイントを徹底的に洗い出して、取り組むべき優先度を明確に設定しながら、演習問題による得点力アップに導きます。

POINT
・AIによる正確な学力診断
・緻密な入試分析
・30万問以上のデータベース設計
・最適な授業で弱点を即解消

東進生は、AIによる自分のためだけの個別プログラムで徹底した志望校対策を絞り込んでいます。また、自宅受講や校舎でのチームミーティングを使い分けながら高校生活に合わせた予定を組み、さらに1万種類にのぼる授業から必要な学びをいつでもどこでも何講でも納得いくまで受講。まるで部活生がうまくなりたい領域を進んで練習するのと変わりなく、最新のテクノロジーと経験豊かな実力講師に支えられて、好きだから、上達したいからがんばる環境を自ら作り出して学んでいます。部活生同士で学習の進捗を報告しあったり部活と勉強の両立についてのコツを語り合ったり、仲間とともに部活も勉強もあきらめない東進生らしさの理由です。

東進の部活生の勉強両立例

 

東進生の常識、「受験勉強は高2の3月までにスタート!」

一般に、公立高校では高3の12月ごろに高校の内容を修了します。しかし、東進生は最も早ければ高2のうちに修了することができます。もしも「部活引退してから勉強始めればいいや」「周りもまだ勉強してないからいいや」といったお子様の呟きが聞こえてきたら要注意。難関大25校の合格者の受験勉強開始時期は年々早まる傾向です。実に10人中7人(72.9%)が高2の3月までに受験勉強を開始しています。東大現役合格者の36.9%(2023年)を占める東進生の常識は、低学年からの学習習慣です。

 

大学に入ることはゴールじゃない
教科書に書いていない人生の夢の入り口

入れる大学よりも入りたい大学に進むのに、必要な学力を高め、志を深めていく東進生。先駆者の話を聴き、最先端の研究に触れ、同じ目標に向かう仲間と語り合う機会からも、自分の未来を発見していきます。未知の領域に挑む研究者やビジネス界のトップリーダー、世界が注目するアーティストやアスリートとともに意見を交わし合う「トップリーダーと学ぶワークショップ」や、日本を代表する大学の先生方やノーベル賞候補と目される若き科学者の講義に学ぶ「大学学部研究会」「サイエンスセミナー」への参加からも続々と刺激を受けています。

知識をインプットしたら、全方位的にアウトプットすることで夢を形にしていく。大学受験で実力を発揮するのもその一つです。難関大合格者の半数以上もまた、将来の夢を持ち、勉強に対する意識を高めています。

●資料
東進タイムズ編集部2023年合格発表直後アンケート
調査方法/インターネット調査(東進生に限定せず広く一般の受験生を対象)
調査大学および分類方法/①国立大学:東京大学、京都大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学、東京工業大学、一橋大学、神戸大学、医学部医学科
②私立大学:早稲田大学、慶應義塾大学、上智大学、東京理科大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、法政大学、中央大学、関西学院大学、関西大学、同志社大学、立命館大学、医学部医学科
▷回答者数884件

 

 

 

『オンライン学習時代の知の世界の広げ方』

芸術や医療、経済などをはじめ、人間の生活にAIやITが果たす役割や影響はさまざまです。まちがいなく言えることは、これらの技術革新が登場する以前の社会に戻ることはないということ。オンライン学習も例外ではありません。大学や高校では、これまでの対面授業や一斉試験を一部オンライン方式に切り替えたハイブリッド型も定着しています。AIやITツールの進化が進むなか、保護者はこれをどう受け止めればよいでしょうか。

先進諸国における日本のデジタル競争力は28 位(2022年)。デジタルスキルやデータの分析と活用等において、後れをとっている状況です。経産省の発表によると、このまま停滞した場合、2030年には50万人を超える先端IT人材が不足するという調査結果も。デジタルリテラシーを身に付け、日常でデジタル技術を活用できることは未来社会の大切な課題の一つです。デジタル知識・能力を備え、ツールを使いこなす学びと、人間らしい能力を発揮することに広く深く取り組む学びのバランスが、未来の知の世界を広げる方法を示していくと言えるでしょう。

 

オンライン教育・デジタル環境のプラス面とマイナス面を知る

一方で、「コミュニケーションが不足する」「部活ができない」「スマホやPCを見てばかり」など、マイナス面は気がかりなもの。しかし、「1対1の対話力や質問力が伸びる」「好きな時間に繰り返し自由に学べる」「学部や国を越えた興味や関心の世界が広がる」など、プラス面も見逃さないでください。技術や環境の変化に合わせて、人間力が進化成長するには、今何を判断するべきか。正解のない時代に、両面を客観的にとらえた取り組みや心がけが、学びの効果を変えるはずです。


AIやITのプラス面を見てみましょう。まずは、AIやITの普及によって、情報の収集や整理が容易になりました。インターネットを通じて世界中の情報にアクセスできるので、関心ある領域の探究や、学習の範囲を広げることも自由です。また、オンライン講義や学習アプリによって、教材の充実度も向上し、多様な教育資源にアクセスできるようになりました。受験勉強を効率化し、学習サポートを提供するためのツールとしては不可欠なものとなっています。

このようなプラス面を活用するために、AIやITのマイナス面にも注意しましょう。インターネット上の大量の情報から、正確さや信頼性を見極めて偏りのない情報に広く接するには、自分の考え方や価値観に客観的であることが大切です。また、自ら発信する情報に責任を持つことも忘れてはいけません。誤った情報や第三者を傷つけるような情報を拡散しないことはもちろん、コピーや盗用をしないこと。AIが進化する中で、スマートフォンやSNSなどの利活用の仕方によっては、情報格差や情報過多が生じたり、時間の浪費や集中力の低下に繋がったりすることもあるでしょう。親子でデバイスの利用ルールを話し合うなどして、AIやIT活用のリスクに対処したいものです。

 

東進の「AI演習」と「IT授業」について

一人ひとりの目標に合わせた最適な学びの提供にいち早く着目し、およそ1万種類の全ての授業をオンラインで映像配信してきた歴史を持つ東進。お子様の可能性を最大限に引き出すノウハウと実績を慎重に管理し、ビッグデータを活用した「AI演習」や映像授業を超えた「IT授業」を活用した新しいオンライン教育を実践しています。

大学受験の目的と取り組みは多様化しています。自分のペースで受講できることはもちろん、やる気を逃さないスケジュール管理や理解度に即した先取り学習・繰り返し学習を取り入れたオンライン学習は、様々なライフスタイルを送る東進生が自らの工夫や達成感を体験し、大学合格後にも続く未来を切り拓く学びへと進む挑戦にもつながっています。たとえば、高2夏までに受験に必要な全科目を学修して秋から大学受験に照準を合わせたメニューを存分に学ぶケースや、高3夏まで部活との両立を実践するケース、受験を超えた大学教養レベルの学修に取り組むケースなど、個々の取り組みは、自由で多彩。東進がオンライン学習で目指すのは、全員が同じルートで学ぶことで個性や強みを埋没させないことや、良問や難問との出会いから自分だけの学びの関心や発見を得る機会につながることです。


AI演習講座とは
データの設計から、アルゴリズム開発、システム化、運用まで、すべてオリジナルで開発した学習システム。AIを活用した採点システムや学習アドバイス により、個別の学習ニーズに合わせてカスタマイズされた学習体験を得ることができます。高3生の志望校合格をゴールに設定し、入試本番半年前からの逆算学習をコンセプトに開講した「志望校別単元ジャンル演習講座」では、保有するビッグデータを活用することで日本初の学習システムを確立しました。志望校合格に必要な取り組むべき単元・ジャンルと問題レベルを個々に明確に設定することで、30万問以上のデータベースから提案される最適な問題の演習にチャレンジできます。


IT授業とは
生徒の受講履歴やテスト履歴など、すべての学習情報をシステム連携し、授業やカリキュラムをはじめとした学習コンテンツと指導力を日々アップデートしています。授業ではハイブリッド黒板、BIG PAD、先生の目線を映像で再現するスーパー書画カメラなどのデバイスを駆使し、倍速視聴にも対応。空き時間や部活の休みにこれらを利用することで、忙しい高校生が自宅で学習資料にアクセスしたり、問題演習を行ったりすることが手軽にできるようになりました。

 

オンライン教育・デジタル環境を駆使して意欲に合わせた学びを実現する時代へ

オンライン学習の全国的な取り組みを紹介します。2022年3月、文部科学省が「デジタルを活用した大学・高専教育高度化プラン」として大学等の公募から選定し、支援を決定したプランは54件。そのテーマは以下の2つです。

取り組み①
学修者本位の教育の実現

例)遠隔授業による成績管理を発展し、学修管理システム(LMS)を導入して全カリキュラムにおいて学生の習熟度等を把握。蓄積された学生の学修ログをAIで解析し、学生個人に最適化された教育(習熟度別学修や履修指導等)を実現

<効果>入学から卒業まで一括管理した学生データとAI技術による解析で、学生の理解度を総合的に確認。学生の学修履歴等から受講すべき科目や 履修の支援、個別の授業後に理解度に応じた課題を提供


取り組み②
学びの質の向上

例)バーチャルリアリティ(VR)を用いた実験・実習を導入するなど、デジタルを活用して、困難と思われていた内容の遠隔授業を実現。自大学のみならず、開発した教育システムやデジタルコンテンツ等を他大学等と共有・活用

<効果>オンデマンド授業・VR等を活用した臨場感ある実験・実習のデジタルコンテンツで、学びの質を向上。実験・実習において、現場と同等の体験をすることで、教科書やビデオ映像を見るよりも効果的な学修を提供


今後進むのは、親世代がイメージするような、大学から学生へのトップダウンを土台とした教育からの脱却です。これからは、主体的に学ぶ学生の意欲を中心に、個々に必要な学びが身につくよう、環境や授業を最適化する多様的でフレキシブルな教育に向けた転換や開発もますます活発化するでしょう。やがて学生から大学へボトムアップの提案による新しい技術や研究も誕生するかもしれません。

このような、親世代にはなかった大学の強みや教育改革の潮流を知ることはとても大切です。大学受験について、大学の人気や偏差値に合わせて行きたい大学を決めたりあきらめたりするような受け身でとらえずに、お子様の可能性の発見や開拓のチャンスととらえれば、日頃オンラインやデジタルに親しんでいるお子様のライフスタイルからも学びの関心やテーマ、その学びに必要な設備や環境を共に発見できるかもしれません。お子様に合わせて大学の最先端の取り組みを検討して選択するといった視点も生かせるでしょう。

例えば取り組み①②ともに採択された関西大学では、仕組みの転換や社会の変革に向けてデジタルトランスフォーメーション(DX)を活用し、最先端の情報通信技術(ICT)活用した教育を計画的・段階的に進めることで学生の「考動力」「革新力」「探究力」向上を標榜しています。ノートPCやWi-Fiルーターの貸し出し、Zoom有償ライセンスの付与などを始めた大学も増えています。

どんな環境で、何を学び、何を身につけるのか、具体的な施策等が文部科学省や各大学のホームページに掲載されていますので、気になる大学の取り組みをぜひチェックしてみてください。

 

オンライン学習×「夢」「志」のバイリテラシーで新しい学びの領域を切り拓く

視野を広く持ち、あらゆる世界とつながって、新しい時代の知の世界を広げるために、東進は「夢」と「志」の力を提案し続けてきました。お子様には、夢や目標を掲げて学ぶワクワクを追求してほしい。受験をきっかけに仲間や家族と「何のために」「どう生きたいか」積極的に意見を交わし合ってほしい。最新のツールや画期的な技術を使いこなすのは、そんなお子様の志です。大学受験を通して将来について考え、夢を志へと高めるとき、オンライン学習環境を使いこなすことや、AIやITを多面的に理解して取り入れる力は、これまでにない学びの領域の開拓や、複雑な課題に立ち向かう思考力・判断力・表現力へとつながるはず。保護者は、子供が迎える未来や学びの環境の変化について共に考え、発展的な活用を見守っていきたいものです。

 

 

文理を超えて時代の課題に挑む!
大学の研究最前線

答えのある教科の学びを身につけるのが高校の学びだとすると、答えのわからない問いを取り上げて探求していくのが大学の学びです。AIやICTの高度化、コロナ禍の影響等からこれまでの常識や枠組みが大きく変わる今、大学では予測のできない未来に向けて新しい価値観やシステムの構築に取り組む研究が進んでいます。

さまざまな不都合や制約のある中で、実験や調査に挑戦する。歴史の検証やデータの積み重ねから、新しい思考や発見を得る。それがお子様の人生のビジョンを広げ、未来の社会を作っていく。大学受験を考えるとき、親の世代の感覚で理系・文系に分けたり、成績を前提に絞り込んだりするだけではなく、横断的に学べる学部の取り組みや、研究の先進性・独自性からもじっくり検討してみましょう。

大学の学部や機関による最新の研究をダイジェストで紹介します。「こんなアプローチがあるのか」「研究っておもしろい」そんな視点から見直してみると、ワクワクするような思わぬ選択肢が見えてきます。気になる研究をお子様と一緒に調べてみては。

 

法・経・商・社会学系統の研究

人々が相互に関係して作り上げてきた実社会を研究対象として社会の諸事情を系統立て、説明を試みます。政治、経済、法律など、生きていくうえで必要な社会制度を扱い、人々がよりよく共生できる社会を目指します。

中央大学 法学(民法)
「『法』で未来は変えられる」
法は私たちの行動を縛る強い力を持っている。それによって実現することは何だろうか。法は私たちが決めるもの。法学部では、私たちの未来を考え、より良いルールはどうあるべきかを考える。

東京大学 ゲーム理論、障害と経済
「ゲーム理論がおもしろい」
ゲーム理論は人間関係を科学する学問であり、経済学の観点から、私たちを取りまく制度をつくる際にも活用されている。社会現象全般に応用することでさまざまな現象をとらえることができるようになった。

慶應義塾大学 経済学(金融論)
「経済は『人間臭い』」
物理で扱う構成要素が「粒子」ならば、経済学の構成要素は「人間」。リンゴは必ず下に落ちるが、株価は投資家の予想や行動次第で上下する。物理法則とは異なる「人間臭さ」を包括した経済学を研究する。

慶應義塾大学 総合政策学
「社会を変革する若者たち」
現代社会の課題を、既存の学問の領域を超えて取り組み、解決へと導くために生まれた総合政策学。学生が自らのテーマとした社会問題をさまざまな学問を掛け合わせた視点で捉え、改善策を考え、それを実践している。

東京大学 農業史、日本近世史、農村史、家族史、環境史、コモンズ研究、食生活史、比較史
「穀物生産と社会的分業~農業がわかれば社会の仕組みがわかる~」
農学は「穀物の増産にまつわる人類の繁栄に貢献する総合的な学問」。土壌、水利、灌漑、作物、育種、林学、造園、畜産、昆虫学、食品加工等へと幅広い専門分野に広がって、地域社会構造研究と職業ネットワーク研究にもつながっている。

早稲田大学 大気環境化学
「大気環境を物質の視点から捉える~微量成分の観測と反応の研究~」
人類の近代史は大気を汚しながら発展してきた。その結果、生命を脅かす健康被害や地球温暖化をもたらしている。大気汚染原因物質を観測し、反応メカニズムを解明していかなければ、この流れは止められない。

筑波大学 ランドスケープエコロジー、ランドスケープデザイン
「好きなことを繋げて生み出す、人と環境のためのデザイン」
見た目の美しさや人間の便利さ主体の支配的環境デザインから、防災や減災、コミュニティ形成など自然と社会の問題解決に繋がるエコロジカルデザインへ。コミュニケーション手段としてのデザイン思考が活躍する。

 

人文・語学系統の研究

「ひと」が生み出した文学や歴史、文化など、人間が現在に至るまでに築き上げてきたものの研究を通じて、「人間とは何か」といった人間の内面的本質を考えます。今後の人間のあり方についても探っていく学問です。

東北大学 認知心理学、教育心理学
「認知心理学を学習・教育に活かす」
学んだ内容がよく理解できる場合とそうでない場合があるのはなぜだろう?そこには、どのような心の働きがあるのだろうか。人が何かを理解・記憶するときの心の動きについて、認知心理学から紐解いてみよう。

上智大学 応用言語学、第二言語習得、英語教育
「言語習得研究から見た英語学習法」
CLIL(Content and Language Integrated Learning)という教育方法で、文法や語彙を覚えて意味を理解するのはもちろん、本来の形で英語を使いながら教科書本文の内容を掘り下げ、言語的な理解と定着を促していく。

 

理・工学系統の研究

数学や物理学のように自然界の事物や自然現象を観察し、そこに流れを見つけることで真理を探求する学問から、自然科学で発見された法則を基にして現実の社会に役立つような技術を研究する学問を包括します。

東京工業大学 スポーツ工学、バイオメカニクス
「コンピューターシミュレーションとロボットで研究するスポーツ
多様な個人が自分に最適なスポーツ動作や用具が容易に得られることを目指して、コンピュータやロボットによる“一番いい動き方”のシミュレーションや、“最適な用具”の開発を進める。

東北大学 情報科学
「人工知能はどうやって物体を認識するのか-機械学習による画像認識-」
人工知能はこれまで何回かのブームがあった。1960年代の第一次、1980年代の第二次ブームから冬の時代に入って以来、機械学習による第三次ブームに突入。飛躍的に向上した機械学習による最先端の画像認識とは?

東京工業大学 理学(天文学、惑星科学)
「宇宙のどこに生命はいるだろうか?」
宇宙のどこかに私たちのような生命体が存在するのだろうか?地球外生物を探すための一歩として、まずは地球型の生命と同様な生命が宇宙のどこかに存在していないかを探る研究に取り組む。

九州大学 制御工学
「情報化社会と制御工学-自動車のモデル予測制御を例にして-」
ハンドルやブレーキの操作をせずとも目的地へ安全に走行する自動運転車の実用化に向けた実証実験が始まっている。それはどんな仕組みでどのように安全なのか。未来の社会幸福度を変えるかもしれない研究が進む。

神戸大学 情報工学、航海学
「意外と知らない『船』の世界」
世界の海と日本を結ぶ輸送船や貨物船。「船」は海に囲まれた日本における海外との物流の要としてはもちろん、移動、観光、漁業、建設、調査、救助、防災、治安確保、環境保全の未来を担って進化している。

京都大学 技術戦略
「ロボットは座布団を椅子の仲間と認識できるか」
問う人も問われた人もどちらも答えを知らないのが「問い」だ。標題の問いは、世界中の誰もまだ解き明かしていない謎。このような「問い」について、仮説を立てて研究するのが大学の学びの第一歩となる。

東京大学 建築学(建築計画、まちづくり)
「孤独で災害の多い超高齢社会を生き抜く住宅と町のデザイン」
日本では、人口減少で空き家が増える一方で、自然災害の増加で仮設住宅に暮らす人が増えている。未来のコミュニティを豊かで安心な居場所にする機能やデザインには、どんなアイデアがあるだろうか。

東京工業大学 人工知能、ネットワーク科学、機械学習
「友人関係と感染症伝搬をネットワークで理解する」
人やもののつながりを表すネットワーク。その構造を分析すれば、クチコミ拡散から感染症制御まで、人々に役立つ情報が見えてくる。ネットワーク科学研究は、社会学、工学、薬学、物理学など多様な分野で注目されている。

 

医・歯・薬学系統の研究

命を救う科学と技術を修得する医学、身体全体の問題として歯を研究する歯学、最先端の医薬品開発や医療現場での医薬品活用を目指す薬学、人間と自然をつなぐ農・獣医・水産・栄養学。連携による研究も進みます。

東京都立大学●福祉政策論
「現代社会と必要:社会福祉学からのアプローチ」
深刻化する日本の貧困や格差、児童虐待。少子高齢化が進み、年金・医療・介護等の生活保障への不安感も強まっている。社会福祉学は、こうしたさまざまな問題に向き合い、社会の課題を解決する力を培う研究を進める。

東京理科大学 薬物治療学、医療薬学
「薬と食品の微妙な関係-食べ物は薬の効きめや副作用に影響する-」
健康の維持・促進・回復に有用な薬と食品の相互作用。薬と薬、食品と食品の組み合わせでも数限りなく存在し、未知の相互作用もある。患者を助け医療の問題解決を試みるマインドのもと、研究に取り組んでいる。

お茶の水女子大学 食物栄養学、代謝学、生活習慣病学
「食と健康:病気に効く食べ物とは?」
食べ物が健康状態を左右し、病気発生に関わる場合がある。健康にいいとされる食品や食事内容は人々の関心事だ。不確かなことも多い食べ物と健康や病気の関連性について、生体との関係から研究で明らかにしていく。

東京大学 生物無機化学、分析化学、農芸化学
「真珠とバイオミネラリゼーションの科学」
輝く真珠の主成分は炭酸カルシウムの結晶だ。しかし、炭酸カルシウムが輝くわけではない。真珠生成メカニズムを探りながら、脱炭素技術の有効手段としても注目されるバイオミネラリゼーションの研究に取り組む。

東京医科歯科大学●歯科心身医学
「『歯』が抜けてませんか?」
歯科に新たな領域が生まれつつある。医科と連携したワクチン接種や、長寿時代のQOLを支える食べる力の支援など。世界唯一の歯科心療科の講座は、脳と体のバランスに着目した研究で、歯科の課題に取り組んでいる。

 

 

 

お子様と語ってみませんか
大学の最先端の研究テーマや 学問分野のキーワード

お子様の進路に関する悩みや不安について、話を聞いたり助言したりしたいという気持ちはあるのに、いざアドバイスするのは難しい……。保護者がそう思ってしまう理由の一つには、大学の最先端のトピックや最新の進路情報について詳しくないからといった遠慮や尻込みもあるようです。

近年の大学学部研究会より、積年の研究が開花しつつあるテーマや新しく誕生した学問分野からキーワードを集め、学べる学部や扱う分野・学科を紹介します。気になる言葉や取り組みに目を通して、お子様と気軽に語ってみませんか。大学で何を学び将来何を目指したいのか、お子様の興味や将来の夢につながる会話やアドバイスの時間が、さらに豊かになるかもしれません

保護者の視野を広げるには、関心を持つことから。大学の学びや研究は、成功するかわからない挑戦的な課題や社会課題に応える新しい領域に、多くの分野が連携して取り組んでいます。世の中が大変化する今は、日頃目にするニュースや地域の情報をはじめ、確かな情報を厳選してお届けしている東進タイムズからも、多様な視点を取り入れておきたいですね。

 

社会学系統のキーワード

・法律や行政について学びたい・ビジネスに役立つ学問を学びたい・社会問題に興味がある・人を支援する仕事に就きたい

●オーラルヒストリー
歴史の当事者に行う学問的インタビューから記録作成・分析して、政治の歴史的制度分析や社会課題の解決策を多角的に捉える手法。「語る」「聴く」プロセスを活用。

扱う分野(学科)
総合政策(政治・歴史など)


●ゲーム理論
「囚人のジレンマ」でも有名な、相手の出方でこちらの出方も変わるといった人間関係を経済的に科学する学問。社会の制度設計に応用され、問題解決に導いている。

扱う分野(学科)
経済(経済、現代経済、国際経済など)、商・経営(商、経営、会計、金融、ビジネスなど )、経営情報(経営情報、産業情報など)


●不動産登記制度
土地所有者不明問題を解決するため令和3年に法改正された。所有者が分からない土地は公益的な目的で利用できるという内容が盛り込まれ、街作りの促進が期待される。

扱う分野(学科)
法(法、経営法、地球環境法など)、政治(政治、行政、国際公共政策など)


●ミクロ経済学・マクロ経済学・計量経済学
経済学の基本の学問。ミクロ経済学は個々の人や企業の行動を分析する。マクロ経済学は国全体の経済活動を分析する。計量経済学は理論に基づく予測をデータ検証する。

扱う分野(学科)
経済(経済、現代経済、国際経済など)、商・経営(商、経営、会計、金融、ビジネスなど)、経営情報(経営情報、産業情報など)

 

人文科学系統のキーワード

・「ひと」に興味がある・文学や歴史、文化などを研究したい・人間の本質や人間のあり方を探りたい・コミュニケーション力を発揮したい

●教育心理学
知識の伝達において受け手の「認知・心理特性」を考慮することの重要性は広く認識されている。その効果的な情報伝達方法やこれからの人間支援のあり方を研究する。

扱う分野(学科)
教員養成(学校教員養成課程など)、教育(教育、教育心理、教育行政など)、心理(心理、臨床心理、心理社会など)

 

自然化学系統のキーワード

・法律や行政について学びたい・ビジネスに役立つ学問を学びたい・社会問題に興味がある・人を支援する仕事に就きたい

●アルゴリズム
特定の課題に対して解答を得るために作られた計算方法や処理手順。コンピュータープログラムが代表的で、AIはこれに基づいて何度も計算を繰り返し、答えを求める。

扱う分野(学科)
機械(機械工学、生産機械工学、ロボット工学など)、電気電子(電気工学、電気通信工学、エレクトロニクスなど)


●温室効果ガス
地球温暖化の影響が最も大きいのは二酸化炭素。化石燃料の燃焼や植物減少が影響している。次は二酸化炭素の約80倍の温室効果を持つメタンで、削減重視報告が相次ぐ。

扱う分野(学科)
人間科学(人間環境科学、大気環境化学など)


●機械学習
機械がデータを直接学習し、予測や推論できるようにする技術。人工知能の一分野。例えば、自動運転自動車が信号の画像を集めて自動的に信号の特徴を理解するなどだ。

扱う分野(学科)
情報科学(制御工学、情報、情報システム、情報メディア工学など)、機械(機械工学、生産機械工学、ロボット工学など)、電気電子(電気工学、電気通信工学、エレクトロニクスなど)


●機能性成分(機能性食品因子)
食品に含まれ、体を作ったり体の調子を整えたりする成分。高齢化社会に伴い関心が高まり、ビタミンやミネラル、フラボノイド等を含むサプリメントが豊富に揃う。

扱う分野(学科)
食物栄養学、代謝学、生活習慣病学など


●CLIL(Content and Language Integrated Learning)
内容言語統合型学習。言語的知識を身につけるだけでなく、言語が伝える内容を考え、実際に言語を使いながら学ぶ。読む・聞く・書く・話す・やり取りする5技能を用いる。

扱う分野(学科)
言語語学(言語、外国語、コミュニケーションなど)


●幻肢痛
事故などで四肢などを失った患者が失われた部位に強い痛みを感じることをいう。脳活動のアンバランスの関与が指摘され、最新の口腔内痛みケアなどで着目されている。

扱う分野(学科)
医学(医)、歯学(歯、歯科心身医療など)


●CPS(サイバーフィジカルシステム)
コンピュータ(サイバー)と人間が五感で感じられる世界を(フィジカル)をクラウドコンピューティングで結びつける進化したシステム。自動運転車もその一つだ。

扱う分野(学科)
情報科学(制御工学、情報、情報システム、情報メディア工学など)、機械(機械工学、生産機械工学、ロボット工学など)、電気電子(電気工学、電気通信工学、エレクトロニクスなど)


●スペクトル観測
大気中にある分子が特定のスペクトル(光の波長)を吸収する原理を使って、分子を計測する方法。大気中の分子組成をはじめ天体の温度や速度も計測することができる。

扱う分野(学科)
理学(天文学、惑星科学、数学、数理科など)、物理(物理、物理科学など)、化学(化学、基礎化学など)


●スポーツ工学
スポーツの諸問題を工学的アプローチで解決する学問。バイオメカニクス(生体力学)とも関連し、研究成果はパラリンピック選手をはじめアスリートへ応用されつつある。

扱う分野(学科)
スポーツ工学、バイオメカニクス、情報科学(制御工学、情報、情報システム、情報メディア工学など)、体育など


●住みこなし
既存住居や町の改良、用途変更によって住民が暮らしやすい環境を作り出していくこと。シェアハウスや民泊、サブスクリプション型住居など災害・空家対策もその例だ。

扱う分野(学科)
土木・建築(土木工学、建築、空間デザインなど)


●ソリブジン事件
薬に関わる全ての団体や職種で薬物相互作用の解明とその必要性を考える契機となった薬害事件。新薬の開発、認可、情報提供、処方・チェック体制が厳しく見直された。

扱う分野(学科)
薬物治療学、医療薬学、薬学(薬、薬科、生命薬など)


●バイオミネラリゼーション
生物が鉱物を作るメカニズム。真珠の形成、感染症の抗原検査、太陽光発電など、広く応用されている。現在は脱炭素技術開発研究が進み、地球温暖化問題解決に挑んでいる。

扱う分野(学科)
農(農芸化学、生命科学など)、理(生物無機化学など)、薬(分析化学など)、生物資源(生物資源学類、生物資源など)

 

学際系統・芸術系統のキーワード

・コンピュータや情報を学びたい・一つの事象を多角的に分析したい・社会問題に興味がある・芸術や体育を社会に生かしたい

●グリーンインフラ
社会資本整備や土地利用、防災・減災等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用する概念。持続可能な国土・地域づくりに活用が推進される。

扱う分野(学科)
人間総合科学(ランドスケープエコロジー、ランドスケープデザインなど)、芸術など


●持続可能性
誰もが経済発展の恩恵を受けられるよう、環境や社会が将来にわたり適切に維持されること。2013年静岡の茶草場農法が持続可能な農法として世界農業遺産に認定された。

扱う分野(学科)
農学(生命科学など)、農業史、日本近世史、農村史、家族史、環境史、コモンズ研究、食生活史、比較史など


●社会的包摂
現代の社会福祉が目指す理念。問題の本質を多角的に分析し、貧困や障がいなどの要因によって社会から締め出された人々が戻って能力を発揮できる社会の実現を目指す。

扱う分野(学科)
人文社会学(人間社会学、社会福祉学など)、看護、保健、介護など


●Python(パイソン)
汎用プログラミング言語。YouTubeやInstagram、人型ロボット「Pepper」にも用いられ、Pythonを使ってプログラミングができる人材の需要が高まっている。

扱う分野(学科)
情報理工学(人工知能、ネットワーク科学、機械学習など)情報科学(制御工学、情報、情報システム、情報メディア工学など)、機械(機械工学、生産機械工学、ロボット工学など)、電気電子(電気工学、電気通信工学、エレクトロニクスなど)


●排他的経済水域(EEZ)
日本は国土面積の約12倍に当たる約447万km2、世界第6位のEEZを持つ。レアメタルや天然ガス、メタンなどが豊富なEEZは天然資源の少ない日本にとって貴重な水域だ。

扱う分野(学科)
情報工学、航海学、海事科学、地球科学・工学、地球地質学など

 

 

10年後の社会

グローバル化や情報化にコロナ禍が加わり、未来はどこへ向かうのか。そして、わが子はどう生きるのか。社会の大変化が止まらない今こそ、わが子と一緒の時間に、未来の話をしませんか。何気ない会話に、わが子の夢や希望、かけがえのない志が隠れているかもしれません。ここに、日本を代表する大学の先生による「10年後の社会」を見据えた中高生向けメッセージの一部をご紹介します。保護者の想像を超える最先端の学びや研究を知ることは、先入観や決めつけを手放すチャンス。信頼の置ける情報や親子のコミュニケーションを生きる力に変えて、わが子の未来を迎えにいきましょう。

 

「もっと効果的な情報伝達の手段が開発されているはず!」

言葉の理解に心の働きは欠かせない。相手の言葉を誤解したり、何気ない言葉に傷ついたりするのは、受け手の心の特性だ。情報や知識を伝える時に受け手の「認知・心理特性」を考慮することの重要性が広く認識され、認知心理学の研究成果に基づく、よりよい情報伝達方法が開発されている。
(東北大学災害科学国際研究所教授 邑本俊亮先生)

親子で話そう

コミュニケーションが多様になったデジタル社会。その便利さと弊害に対して、言葉の価値や人の信頼関係を守るコミュニケーションやサービスにはどんなものが考えられそう?

 

「文理を越えた視点で多様な分野の新技術と社会をつなぐ」

同じことを正確に何回も繰り返す点では、ロボットの経済効果は高い。
人間にとって大事なのは、何を学び、どんな力を身につけるか。そして、どこで勝負するか。過度に恐れず「自分たちが社会を変えられる」と信じて、挑戦し続けることだ。
(京都大学総合博物館准教授 塩瀬隆之先生)

親子で話そう

人間はAIやロボットに仕事を奪われるだろうか。アップデートされる社会で、最新技術がどのように受け入れられるのかを冷静に見極め、探るためには、どんな取り組み方や考え方が必要だろう?

 

「ヒューマンインタフェース研究はつねに10年先を見ている」

インタフェース研究は、ユーザに最も近い研究分野。そのため「10~20年後にはそのコンセプトが実用化されて社会に導入される」ことを想定して研究が進む。その一つ、「e-コーチング」研究も、徐々に技術レベルが向上し、AIやIoT技術と連携し、人の生活やスポーツ、教育、介護のコーチ役となるときが、いずれ来るだろう。
(名古屋大学情報学研究科教授 間瀬健二先生)

親子で話そう

50年後にスマートフォンやSNSは使われているだろうか。未来には、どんなコンピュータやインターフェースが出現しているといいだろう?

 

「ソフトロボット学でロボットと共存する未来」

ソフトロボットとは映画のベイマックスのようなロボットで、今までのロボットが重視した速度や精度の点ではダメロボット。しかし、人に優しく融通が利く。従来とは異なる価値観に基づくソフトロボット学から誕生した人と共存するロボットや機械が、もっと活躍しているだろう。
(東京工業大学工学院機械系教授 鈴森康一先生)

親子で話そう

従来のロボットから進化した最先端のロボットに、どんな機能を搭載させたい? そのロボットは、人の生活をどのように変えるだろうか。

 

「医師の手を再現したようなソフトロボットが誕生する」

現在、ロボット研究者の間で大きな注目を集めているのが、生き物のように柔らかな構造を持つソフトロボット。手術や動作支援など空気圧駆動の柔らかさを活かしたさまざまなロボットの研究開発を進めるなかで、それらが手術現場などで活躍することを目指す。
(東京大学大学院 情報理工学系研究科教授 川嶋健嗣先生)

親子で話そう

高度化する手術の最先端の現場では、人間とロボットがどんな協力を行っているだろう。未来の医学と協働する学問には、どんなものがあるだろうか。

 

「リエゾン精神看護は、新たな知見の礎に」

患者の心と身体を総合的にケアし、患者とその家族、医師や医療スタッフをつなぐリエゾン精神看護は、新たな知見ではなくなっているだろう。しかし、100年以上前のナイチンゲールの教えが現代の看護の現場で活かされているように、常にその先の新たな知見の礎となり続ける。
(慶應義塾大学看護医療学部/大学院健康マネジメント研究科准教授 福田紀子先生)

親子で話そう

現代社会において疾患や障害とたたかう患者のケアには、どんな専門性や知見が必要だろうか。未来の看護のスペシャリストのイメージは?

参考文献/TOSHINTIMES 大学学部研究会 DIGEST号2020

 

 

 

「どう生きる」をどう伝える?

「どう生きる」をどう伝えるか① 〜トップリーダーと学ぶワークショップより〜
「金メダルを取るアスリートの育て方」 平井 伯昌(ひらい のりまさ)先生

profile
平井 伯昌(ひらい のりまさ)先生
競泳日本代表ヘッドコーチ,日本水泳連盟競泳委員長,東洋大学水泳部監督,イトマンスイミングスクール特別コーチ
〇ワークショップテーマ
自分が世界一になるためには(誰かを世界一にするためには)、自分ならどうするか

学びの環境や働く環境が変わりつつある今、時として親子の価値観が合わないことや、意見がぶつかることも少なくありません。しかし、そんな場面もお子様の成長にとっては大切なステップかも。だからこそ、親から子へこれだけは伝えたい大切なメッセージがあります。それは人生を「どう生きるか」。

研究やビジネス、スポーツ界の最前線に立つ“現代の偉人”に話を聴き、共に考える『トップリーダーと学ぶワークショップ』は、東進でも人気の参加体験型コンテンツです。ここでは、貴重な話から人生のヒントを得るだけでなく、参加者同士が学び合い意見を出し合うことで、多様な立場の他者を理解し、新たなアイデアを生みだしています。その極意 は、誰も一方的でないことにあります。

わが子に思いがうまく伝わらないときは、親の意見や行動が一方通行になっていないか見直してみませんか。トップリーダーの言葉から、保護者がお子様と共有したい教育論・人生論を解きほぐしてみるのをおすすめします。取り上げるのは、水泳指導の第一人者、平井伯昌先生によるトップアスリートの指導法です。

東京2020オリンピックで、競泳女子個人メドレーの2冠を達成した大橋悠依選手。日本女子選手が夏季五輪で1大会2個の金メダルを獲得したのは史上初の快挙でした。金メダルを掲げた彼女が真っ先に駆け寄ったのが日本代表平井伯昌監督。平井先生は2019年に『トップリーダーと学ぶワークショップ』で「金メダルを取るアスリートの育て方」について語っています。北島康介選手や萩野公介選手を育成した当時から、その後見事に無名だった大橋悠依選手を金メダルに導いた有言実行の先生が、アスリートに伝えてきたこととは。

 

技術指導のみでは“伸び悩む記録”
水泳を通じて人間指導を重視

平井先生:今回の講義では、一人ひとり個性が異なる選手たちに結果を出してもらうため、私が行ってきた指導法を紹介したいと思います。私の指導方針は、大きく6つに分けられます。そのうちの2つは精神面の指導です。

第1は「技術指導から人間指導へ」という考え方です。ジュニア選手のコーチを始めた頃は、選手の記録を伸ばすことを最重視していました。ところが、なぜかみんな揃って高校2年ぐらいで記録が止まってしまうのです。

そこで、指導法を変えなければと模索するなかで改めて考えたのがコーチの役割でした。コーチは単に水泳の技術だけを教えるのではなく、水泳を通じて人間育成を図ることが大切ではないかと気づいたのです。すると、自然と選手自身が自己責任について考えられるようになり、その結果、失敗を人のせいにしたり言い訳をしたりしないようになりました。自分の行動に責任を負う姿勢は受験勉強にも通じる考え方ですね。

これが第2の方針「精神力の強化」につながります。苦しいときでも本来の力を出すためには、精神力が必要です。精神力は自分に言い訳をしないように心がける習慣で育まれるのです。心技体の中で最も崩れやすい「心」を最初に鍛えれば、たとえ体の調子の万全ではなくとも、その時点での100%の技を出せるようになります。よく「いつもどおりの力を出せばいい」といいますが、そのための土台として強い精神力が欠かせないのです。

 

“できるかどうか”ではなく“どうすればできるのか”に集中する

第3は「明確な目標設定」です。誰をコーチするときでも最初に考えるのは、その選手の最大限の可能性。そこで客観的に達成可能な最大目標を設定します。目標設定の段階でコーチが妥協してしまうと、選手が秘めている可能性を100%引き出すのが難しくなります。最大目標が明確になれば、到達するための課題もはっきりします。そこで課題を克服するための具体的な方法を検討し、期日を区切って練習計画を立てるのです。計画は、必ず逆算方式で考えることがポイントです。最終目標を設定し、達成するために必要なステップを細かく分けるのです。計画段階では「できるかどうか」ではなく「どうすればできるのか」に集中します。その際にコーチとして心がけるべきは、まず長所を伸ばして、小さくてもいいから成功体験を積み重ねること。これで選手のやる気に火がつきます。

第4は「チーム制強化」です。コーチ一人では達成が難しい課題、例えばオリンピックでの金メダル獲得などは、何人かの専門家がチームを組んで選手をサポートします。これは教科ごとに専門の先生がおられる予備校も同じシステムですね。

 

水泳や勉強を通じて、何を成し遂げたいのか
目標と目的を混同しない

第5は「プロセス重視」。要は、途中段階での結果には一喜一憂しないことです。そうではなく、常に最終目標を見すえた上で、今やるべきことに集中する。大切なのは、成功したプロセスでの要因分析です。なぜうまく行ったのかを確認しておけば、逆に思うように行かないときに、どこが悪いのかがわかります。調子には必ず波があるので、良いときに悪いときの備えをしておくのです。

第6が「目標と目的」です。よくこの2つを取り違える人がいますが、目標とはあくまでも目的を達成するための目印です。アスリートにとって金メダルを取るのは目標であり、決して目的ではありません。例えばハンマー投げの室伏広治さんは、ロンドンオリンピックに臨むときの目的を「東日本大震災の被災地の皆さんに勇気と希望を届けること」とし、目標を「復活のメダルを獲得すること」としていました。皆さんが大学受験で合格を目指すのは一つの目標であり、それが最終目的ではないでしょう。大学に合格してから何を学ぶのか、どのように生きていくのかが大切なはずです。

平井先生の金メダル指導法

「技術指導から人間指導へ」
技術だけを教えるのではなく人間育成を図る

「精神力の強化」
自分に言い訳をしないように心がける習慣を

「明確な目標設定」
逆算方式で必要なステップ目標達成を続ける

「チーム制強化」
達成が難しい課題には専門チームでサポート

「プロセス重視」
結果に一喜一憂せず成功プロセスを分析する

「目標と目的」
金メダルは人生の目的に繋がる一つの目標だ


ワークショップMEMO

生きる目的とは何か。平井先生は、一人ひとりに人生の目的があり、それは一人ひとり違うものだと語ります。何を成し遂げようとしているのか、その行為の目指すところが目的だ、と。皆同じ正解はないからこそ、常に自分の目的を考え続ける姿勢が大切。平井先生が取り組んだのは、個性の違う選手たちが自ら育つ指導法でした。進みたい大学や学びを目指すという明確な目標を掲げて、心を鍛え課題を克服しながら、生きる目的へと向かうお子様に対して、保護者はその姿を見守り、長所を伸ばしながら、納得解をつかむプロセスを分かち合うチームでもありたいものです。